まるで高市氏が当選した瞬間に女性の権利が毀損されたかのような騒ぎです。これまで「女性が権力を握れないのは差別だ」と主張してきた方々が、いざ女性がトップに立つと「その女は違う」と怒る。ここまで来ると、もはや構造的矛盾ではなく、感情的な事故です。
女子に媚びを売って女子モテを狙う「チン騎士」代表の勝部元気氏も負けていません。「女性初という表面上の属性だけで日本のマスメディアは浮かれているけれど、初代の女性首相or大統領が極右でその後も女性リーダーを複数輩出している国なんて見たこと無い」とのこと。
なるほど、彼にとって“良い女性総理”とは、自分が思想的に気に入るタイプだけのようです。
そして社民党の福島瑞穂党首。「女性なら誰でもいいというわけではないということの一番のお手本のケースだと思います。残念で驚愕してますし、極めて危機感を感じています」とのコメント。どうやらフェミニズムとは、“女性なら誰でもいい”どころか、“私たちが承認した女性しか認めない”運動へと進化を遂げたようです。
長年「女性を排除する社会構造」を批判してきた人々が、今度は「思想が違う女性」を排除しているのです。
高市氏が保守的な国家観を持つ女性であることが、彼女たちの怒りの根です。彼女がフェミニズムの“教義”に従わない女性だからこそ、「名誉男性」というレッテルを貼って切り捨てるのです。しかし、この言葉こそ女性差別の再生産そのもの。「男に媚びる女」「女らしくない女」という侮蔑を、かつて女性たちはどれほど受けてきたことでしょう。それを、今度は女性自身が他の女性に向けて投げつけているのです。自己矛盾もここまで来れば芸術の域。