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外国人労働者(移民)は奴隷か?:米山隆一連載16

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 それに対して、「文化が違う!」とおっしゃるのは分かりますが(実際違いますから)、「奴隷労働だ!」とおっしゃる方(タレントのフィフィさん他です、ええ)がおられるのには、正直驚きを禁じ得ません。私の父母が高度成長期に田舎を出て東京で就職したように、元より労働者は、職があるところに移動します。そして私の父母が東京に馴染もうと銀ブラを楽しんだように、私がアメリカで働いていた時小粋なアメリカンジョークを練習したように、大抵の労働者は自分の文化を持ちながらも、その地の文化に馴染もうとします。それは通常の労働であって、奴隷労働でも何でもありません(それを奴隷と言うなら、大抵の日本人労働者も奴隷です)。

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 もちろん、文化の違いというのは確かに大きくて、現在のところ3%程度の外国人・外国人労働者の比率がより上昇してくれば、日本人から見て違和感を覚えることもまた、増えてくると思います。しかしそれは、私の父母が恐らくは東京のモダンガール・モダンボーイからは田舎者に見られ結局上野で出会った熊本男児と新潟娘で結婚し、小粋なアメリカンジョークを駆使したメールで碧眼・ブロンド・高身長のアメリカ女性を食事に誘った私が恐らくは相当無茶な人に見えたと思われ、何十行にも渡る長いお断りのメールをいただいたようなもので、人間同士のやり取りの中で普通に発生し、普通に解決できる問題がほとんどであるように思います。

 外国人労働者(移民)は奴隷でも、悪魔でも、今突然そこに現れた人たちでもなく、もう30年以上、我々日本人と共に働き、暮らし、経済・社会を支えてきた同じ人間、同じ労働者、同じ仲間です。冷静な議論と、合理的な制度の下で、共により良い未来を創っていきたいものだと思います。

 

文/米山隆一
初出/実話BUNKA超タブー2025年11月号

米山隆一

PROFILE:
米山隆一(よねやま・りゅういち)
1967年生まれ。新潟県出身。東京大学医学部卒業。独立行政法人放射線医学総合研究所、ハーバード大学附属マサチューセッツ総合病院研究員、おおかた総合法律事務所代表弁護士などを経て、2016年10月に新潟県知事就任。2021年10月、衆議院議員選挙にて旧新潟5区で初当選。立憲民主党所属。
Twitter @RyuichiYoneyama

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