キャンプブームが止まらない
2021年4月28日、小池百合子東京都知事は、新型コロナの蔓延に歯止めをかけるべく、徹底したステイホームを改めて呼びかけた。そこで、避けるべき行動様式として、路上飲みや河原などでのバーベキューとともに挙げられ話題を集めたのが、昨今、大ブーム中の「キャンプ」だ。
小池知事の自粛通告は、あらゆる屋外レジャーを十把ひと絡げにとらえている点や、施設側も含めて予定変更がしづらいタイミングで発信した点、屋外レジャーを禁じることで密になりやすい遊興へ誘導しかねない点など、首を傾げるべき点が少なくない。ただ一方、禁じられても仕方ない状況をキャンプ愛好家やアウトドア業界が作り上げている面もある。
都知事の発言に「入場時の検温やマスク着用を徹底し、テントの間隔は10m以上離すようにしている。炊事場も蛇口を間引くなどでディスタンス確保をしている」と安全性を主張するキャンプ場もあるにはある。だが、感染対策を本当に徹底していると言える施設は、ごくごく一部だ。まず、ほとんどの施設では、検温と言っても入場時に一度するのみ。その後、数日間滞在する利用者の体調まで追ってはいない。また、入場時にマスクの着用をチェックしても、場内に入ってしまうと外して過ごしている人がほとんど。広大な場内で一人ひとりを注意して回ることなど、事実上不可能だ。
入場制限やテント間の距離も施設によってピンキリで、たとえばアニメ『ゆるキャン△』の聖地として知られる本栖湖畔の某キャンプ場では、テントや車の間隔は「1m」。連日、入場できない人もいるほどの人気施設ゆえ、基本的に最低ラインの1mギリギリまで詰めてテントが設営されているのだ。
利用者すべてが単独、いわゆる「ソロキャンパー」ならば、全員が黙りこくって痴呆症患者のように焚き火を眺めているだけなので、1mでもさほど問題ではないかもしれない。しかし、いくらソロキャンプが流行っているとはいえ、いまだ多くのキャンプ場ではグループキャンプが主流。酒を飲んで夜遅くまで大声で騒ぎ、マスクもせずに場内をうろつく連中で溢れかえっている。そして、施設側もそれを認識しつつ、ブームの追い風を逃さぬよう半ば放置している。それが現実なのだ。
要は、自分たちが蒔いた種。繁華街の地べたに座ってたむろしている路上飲みの輩と同列で扱われて当然の状況を、自ら作っているとも言える。
そうかといって、キャンプ場へ行く代わりに我が家で「キャンプもどき」に興じるというのも滑稽の極み。「庭キャン」ならまだしも、今回のブームは「部屋キャン」だの「OUTi DOOR(おうちドア)」だのといった珍語まで生みだし、室内でランタンや寝袋を並べて悦に入っているバカも少なくない。
ねえ、キャンプって? アウトドアとは? コンドームを着けてオ●●ーをしても、それを「セ●●ス」と呼びはしないでしょ!?
こんな惨憺たる状況の、キャンプブーム。空前絶後の大盛り上がりはいったいどのように生まれたものなのか。