347回 7月5日災害予言漫画とサイババ
「2025年7月5日に日本で大地震が起こる」(隕石が落ちてくる説もある)という噂がネット中心に広がり、信じる人が増加。アイドルの中にも信じている人があらわれ、ファンを不安にさせている。海外でも噂は広がり、日本への観光客が減少する等、現実にも影響が広がっている。
その噂のおおもとになっているのが2021年に飛鳥新社(『磯野家の謎』で謎本ブームを引き起こした)が発売した現在70才になる女性漫画家・たつき諒の『私が見た未来 完全版』という作品集だ。
たつきが1999年に朝日ソノラマから出していた『私が見た未来』の復刻版にあたるもので、復刻にあたり書き下ろされたたつきの文章パートに2025年7月に日本で大災難がおこる夢を見たという記述があり、それが予言であるとして広がっていったのだが、少し複雑な背景がある。
ことの経緯を追ってみよう。
朝日ソノラマから刊行されていた『ほんとにあった怖い話』という雑誌等に掲載されていた、たつきのスピリチュアル・ホラー系のエッセイ・創作漫画を集めた作品集『私が見た未来』。そのオリジナル版の『私が見た未来』の表紙イラストに「大災害は2011年3月」という文があったことで東日本大震災の予言ではないかと一部ネットで騒がれだしたのが発端である。
『私が見た未来』はたつきの漫画家引退記念作品ともいえる最後の単行本であり、この後たつきは漫画家を引退し別の道を歩んでいた。特にSNSをやることもなくネットとは距離をとって生活をしていたということだ。