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鎌倉という古くて不便な京都の劣化版の町を絶賛する輩がダサくて不快な理由

社会
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高い家賃、渋滞、塩害に虫多し

他所から来たら、わりとハードな観光地、鎌倉。

でも、住めば都なんじゃないかと、例の文学青年は部屋を借りてしまった。

「神社仏閣に囲まれた環境。創作活動に集中できます」

それを得るために払う家賃は1ルームで約7万円。ちなみに2LDKの相場は約14万円。新宿から2、3駅離れたところで借りられるレベルの高さである。その新宿まで電車で片道約1時間。往復2時間。

「毎日、文庫本が1冊読めますね」

前向きかよ。文学青年。

ちなみに往復の電車賃1840円あれば毎日、単行本が1冊買えるけどな!

さらに2015年4月から、家庭ゴミの有料化が始まっていて、5リットルのゴミ袋が10円。40リットルのゴミ袋が80円もする。

外食しようにも、そこは観光地価格。ランチは2000円が普通だし、コーヒーを飲むにも1杯600円くらいはかかる。仕方なく自炊しようにも鎌倉野菜は激高。そもそもスーパー自体がほとんどなく、行くには足が必要。だが車を出そうにも慢性的な渋滞。海辺を走る国道134号は常に渋滞しているので、迂回しようにも、歴史を重んじるあまり、昔のままの道幅を保っているので狭いことこの上なし! 鎌倉好きの言う「住みやすい街」の要素はどこに?

「そもそも幕府が置かれたことからして、天然の要害なわけですよ。東・北・西の三方を山で囲まれ、南は海。さらに源頼朝は敵に攻められないようにと、馬が通りにくいように狭い道を作った。それをそのまま残す街、鎌倉……歴史を感じます」

そうですね!

「車なんていりません。自転車があれば十分♪」

いや、無理だから! 山が複雑に入り組んでいて、坂だらけの鎌倉で自転車移動は無理だから!!

「それなら電車かバスで」

観光シーズンになったら観光客で満員御礼だよ! 江ノ電なんか乗車規制が掛かることまであるから!!

「それなら観光シーズンはあまり動かずに、家でのんびり本でも読んでます」

谷だらけの地形で、場所によっては湿気がすごくてのんびりしてられないよ!

逆に海沿いでは塩害でエアコンの室外機が錆び付いたり、飛び砂で洗濯物は外に干せなかったり、仕方なく窓を締めっきりでエアコンや除湿器を掛けっぱなしで室内干しとかしていたら、鎌倉じゃなくてもいいじゃんって話だし。山を削って住宅地を確保しているところも多くて崖崩れの危険もあるし、海が近すぎるので津波や高潮が来たら市内の主要部はほぼすべて水没してしまうし。歴史的にも地震の多い場所で、1200年代には「鎌倉大地震」と呼ばれる大震災が10回ほど相次いでるし、1293年の地震では2万3000人ほど亡くなった記録もあるし。関東大震災の津波では10万5000人ほどが死亡、あるいは行方不明になってるし。昼間は賑わってるけど、夜は閑散としていて、一人歩きは不安だし。この事実を前にしてもまだ鎌倉を好きと言える?

「なるほど。思った通り……文学的な街ですね」

どういうことだよ!!

 

文/ダテクニヒコ
写真/Wikimedia Commonsより(撮影/Hokanomono)
初出/実話BUNKA超タブーvol.29

 

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