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日本語が通じない人があまりに多い:適菜収連載2

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「●乃珈琲」に限らない。Mというドラッグストアでは「カードに溜まっているポイントを使うことができるか?」と尋ねたら、日本語が通じなかった。以前、コンビニで「切手はありませんか?」と聞いたら、「ここは郵便局ではありません」と中国人に説教されたこともある。

日本は急速に変な国になってしまった。暖簾に腕押しというか、機械みたいな人間が増えてきた。私の友人の中野剛志がよく使う喩え話だが、「道を歩いているときに犬に吠えられたら、吠え返すんですか?」というのがある。要するに、犬レベルの人間が絡んできても反論するのは無駄。ましてや機械に反論するバカはいない。

現在、コンビニのレジをはじめ、ファーストフードの注文なども、機械が担当するようになってきた。

カスタマーセンターがあったとしても、対応するのは機械(AI)である。機械にクレームをつけても、当然、機械のような対応しかしない。100パーセント店側が悪かったとしても、AIは気にも留めない。「オペレーターを出せ」と言っても、散々たらいまわしにされた挙句、「もう一度、最初からやりなおしてください。スタートメニューに戻るときは1のボタンを、終了するときは2のボタンを押してください」などと平然と言い放ったりする。

資本の動きは効率性を追求するため、人間の仕事を機械に置き替えていく。その過程で人間が関与する高度な技術は見失われ、最終には機械が管理するシステムの中で人間は暮らすことになる。「脱人間化」という現象だ。結局、締め出されるのは人間だ。星乃珈琲にはもう行かない。あ、伏字にした意味がなくなってしまったか。

 

初出:実話BUNKAタブー2023年9月号

PROFILE:
適菜収(てきな・おさむ)
1975年山梨県生まれ。作家。大衆社会論から政治論まで幅広く執筆活動を展開。『日本をダメにした新B層の研究』(K Kベストセラーズ)『ニッポンを蝕む全体主義』(祥伝社新書)など著書多数。

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