「K-POPは胸の形がくっきり&腿の付け根ギリギリの衣装で、腰グワングワンさせた性器を強調する扇情的なダンス。フェミニストはこんなの一番に文句を言うべきでは? なのにフェミニストはK-POPにはダンマリ」という主張が一部でなされています。
K-POP=エロという残念な時代錯誤
残念ながら上記のようなイメージでK-POPを語るのは時代錯誤もいいところです。2023年現在のガールズK-POPシーンにおいては、エロい衣装とエロい振り付けで売るグループは無きにしもあらずかもしれませんが、かなりのマイノリティー。確かに2010年代中盤までは、そういったエロ売りのグループが多くありましたが、エロ売りグループは下火になっていき、現在の主流はBLACKPINKに代表される「ガールクラッシュ」というスタイル。
ここでいきなり出てきた言葉「ガールクラッシュ」とは何か。正確な説明ではないかもしれませんが、わかりやすく説明すると、女性が惚れる女性像、男性に媚びずに自身を貫くスタイルという感じでしょうか。男性アピールするような衣装やダンスではなく、女性にとってカッコいいパフォーマンスで売っているのが現在のガールズK-POPグループの主流になっているのです。衣装やダンスだけでなく、そういった、男性に媚びずに自身を貫くメッセージが楽曲に込められていることも珍しくありません。
なので、昨今のフェミニスト女性の言動が真っ当なものかどうかはさておき、そういった女性たちがK-POPに何も言わないのは至極当然のことなのです。で、「K-POPはこんなにエロい!」とか喚いている男性たちが、その主張と一緒に貼り付けている画像の類は、だいぶ前のグループのものと思われます。
もちろん、K-POPがそのように段々と路線変更していったのは、自発的なものというよりも、国内だけでなく世界で売り出すにあたってメリットがあるからという理由が大きいと思うので、「韓国は女性が女性らしく振る舞える素晴らしい国になった」などと飛躍した主張をするつもりは全くありません。
ただ、確かなのは「ガールズK-POPはエロで売っている」という主張は時代錯誤も甚だしい。現在は「ガールクラッシュ」を表現するグループや、さらにその先の新しい表現を模索しているであろうNew Jeansなどのグループが席巻しており、エロパフォーマンスと程遠いというのが現在のK-POPシーンなのです。
とはいえ、K-POP=エロという固定観念に縛られたミソジニー日本人男性からすれば、エロで売っていた10年代中盤くらいのグループも現在の「ガールクラッシュ」を売りにしたグループも一緒くたに見えてしまうのかもしれません。
「ガールクラッシュ」のグループもスカートは短かったりするものの、そこで表現されているのは男性向けのそれとは全くの別物ではあるのですが、悲しいかなミソジニーの方々はその明らかな差異に気づくほどの理性と知性は持ち合わせていないということでしょうか……。
文/田崎寿司郎
写真/Rainbow Blaxx「Cha Cha」 MVより