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セクシー田中さんの悲劇で露わに SNSの問題は誹謗中傷にあらず

社会
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このあまりにも悲しい結末に、芦原さんの死を悲しむ声とともに、脚本家の相沢さんや日本テレビへの怨嗟の声が多く上がっています。一方、相沢さんを責める声に対して、「これ以上新たな悲劇を生むつもりか」という批判の声も見られます。

ドラマを制作した日本テレビ側はどうしてこういうことが起きてしまったのかを検証、発表するとともに、今後同じことが二度と繰り返されないために再発防止策をどうするか真剣に考えていただきたいものですが、今回の悲劇でわかったことが一つあります。

誹謗中傷がなくてもSNSは危険

2020年に、テレビ番組『テラスハウス』に出演するなど芸能活動も行っていた女子プロレスラー、木村花さんが自殺するという、やはり痛ましい出来事がありました。木村さんは、『テラスハウス』出演時の言動をめぐり、SNS上で誹謗中傷を受けていたとされており、そのことが自殺に繋がったと言われています。

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そのため、「SNSの誹謗中傷は問題だ」という声が高まり、また合わせてSNSの匿名性も問題になりました。皆が名前を出さずに無責任なことを書くため、傷つく人が出てきてしまうという主張です。こういった声に対して、「だったらSNSを見なければいい、やらなければいい」という意見も出ましたが、「加害者ではなく、なぜ被害者がやめなければいけないのか」という一見正論がまかり通り、匿名アカウントによる無責任な誹謗中傷がなければSNSは便利で素晴らしいもの、誹謗中傷が諸悪の根源である、という認識が一般的になりました。

しかし、今回の芦原さんの自殺でわかったのは、SNSそのものが持つ暴力性でした。誹謗中傷がなけれればSNSは無害な素晴らしいものではなかったのです。

例えば、当初の相沢友子さんの投稿。

芦原さんを表立って批判しているわけではないものの、暗に批判、苦言を呈して、確かにテクニカルに芦原さんへ批判を向けさせるように見える内容ではありました。とはいえ、決して芦原さんへの誹謗中傷と言える内容ではありません。ドラマ制作にあたって、相沢さんの耳に芦原さんからの要望がどこまで入っていたのかわかりませんが、投稿を見る限り、相沢さんはそのことを知らされておらず、相沢さんも脚本執筆の過程で戸惑い、不信感を覚えていたように思えます。相沢さんの立場からすれば、当然の不満を漏らしたにすぎないのかもしれません。

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一方、これを受けての芦原さんの投稿も、ドラマ『セクシー田中さん』脚本をめぐる騒動に誤解を受けないための誠実な説明でした。この投稿を読んだ人たちが、芦原さんを応援、相沢さんや日本テレビへの批判の声を上げますが、これらの声も、一部過激なものもあったかもしれませんが、全体としてはあくまで真っ当な内容でした。

しかし芦原さんは、騒動の拡大が不本意であったと思われる投稿のあと、自殺を選んでしまいました。芦原さんが命を断って以後、相沢さんらへの批判は「人殺し」など誹謗中傷と言っていい投稿が散見されますが、少なくとも芦原さんを死においやったのは、誹謗中傷ではありませんでした。

では、なぜ芦原さんは死を選んでしまったのでしょうか。それは、SNSそのものが持つ暴力性です。誹謗中傷ではない、ただの真っ当な批判、いや批判ですらない論評だとしても、それが100、1000、1万…と集まればそれはもはやただの批判ではなく、受け取る側にとっては時に相当な攻撃、暴力に感じられるでしょう。メンタルを削るのには十分です。

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