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松本人志:サムソン高橋「ハッテン場から愛をこめて」連載6

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対してダウンタウン、松本人志は工業高校卒で印刷会社に就職しようとしていた男だ。人見知りで弱っちいヤンキーが、お笑いのセンスだけ天才だったのだ。桂枝雀や星新一などの影響はあっただろうが、ジャズ喫茶に入り浸りオールナイトの映画館でヌーヴェルヴァーグを観ていたビートたけしとは素地があまりにも違う。

当時どちらが魅力的だったか。断然松本人志だった。ビートたけしの知性や人生訓は鬱陶しく思えたのだ。

私が松本人志に対して最初に「おや?」と思ったのは、後に『遺書』と題された『週刊朝日』の連載を読んだときだった。

つまらない。

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尖った語り口ぽく見えるが、内容は普通。率直に申し上げて、なんだかダサい。ひどいことを言うと、「偏差値50くらいの人が一生懸命書いた文章だな…」という印象だった。

驚くのが、当時忙しさのピークに達しようとしていたときに週刊連載。しかも確か本人直筆のイラスト付き。何を考えてるかわからないクールなお笑いの天才は、仕事熱心でお笑いに関しては天才的だがそんなに頭の良くない人だったのだ。

私の心が暗くなったのは、『遺書』がベストセラーになって松本人志がカリスマになったこと。世の中の半分以上は偏差値50以下の人々で出来ている。そして松本人志が呼応するように文化人/コメンテーター的な役割を担うようになったこと。急にゴッホにはまったときは片岡鶴太郎が絵を描き始めたときより遥かに恥ずかしかった。

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