今後老人医療はどうあるべきか
――老人医療は今後、全体設計をどう変えていくべきなんでしょうか?
「介護は分散させるのではなく、大規模集約化していくべきです。そうしないと、今後、軽度含め認知症900万人時代を迎えたとき、介護難民によるウンコ放置死が頻発しますし、日本のインフラと産業が人不足で崩壊してしまいます。
人的リソースの枯渇を引き起こす非効率な個別訪問はなるべくやめて、むしろ広い街のようなモール型の施設に集約するべきです。そうした場所に認知症の人たちを集めて暮らしてもらうことで、利用者の生活の質と効率性、その双方を満たすことができるでしょう」
――医療についてはどうでしょう?
「まず、大前提は後期高齢者も自己負担を3割にすること。例えば、実際の機能回復にも機能維持にも繋がらない激安自己負担のマッサージ化したリハビリなどが介護保険分野で横行しており問題です。これらの需要は自己負担3割にするだけで、消えてなくなると思います。
そして根本的には、国民の健康と寿命を守るインフラとなる医療介護と、満足度サービスの側面が強い医療介護を分けて制度を再設計すべきだと思います。このままでは満足度サービス的な医療に、必要なインフラ的な医療の人と金のリソースが奪われて、助かる病気やケガでも助からない事例が多発するでしょう。そうならないためにはサブスク医療をやめさせ、大けがしたときに手術してくれたり、お産を取ってくれたりする医療に人的リソースを集中させるべきです」
読者の皆さん自身が数十年後、ウンコまみれ放置死になってしまうかもしれないのだ。そのことを肝に銘じて、自分のこととして、この問題を考えてみてほしい。
取材・構成/西牟田靖
初出/実話BUNKA超タブー2024年3月号
PROFILE
勉三
関西在住の男性(39歳)中小企業経営者。20代の頃に勤めた企業の医療福祉部門での経験から、コロナ渦から続く、高齢者バラマキ医療福祉の問題に憤りを感じて、Xで「反サロ運動(反老人サロン運動)」を開始する。現在では社会保障制度に危機感を持つ医師や薬剤師も含めた数千人規模のコミュニティとなる。
X:@kidasangyo
note:正拳突き道場