「批判ばかりで政策論争をやろうとしないのはいつものこと。今回も都政の問題について議論するならまだしも、政治とカネの問題ばかりです。そこを何とかしたいのであれば、それこそ国会議員として活動すればいいわけで、都知事選の争点としては的外れです」(前出・政治評論家)
今回の選挙で都民にとって何より重要なのは、今の東京都にとってどんなトップが必要なのかという視点だろう。そしてこの視点で見る限り、少なくとも小池の3選という選択のほうがはるかにマシに思えてくるはずだ。
小池批判から見えるのは東京の課題のなさ
確かに小池都政には批判されるべきポイントが幾つもある。選挙戦では様々な小池批判が展開されることになるが、中でも真っ先に出てくるのが以前の選挙で掲げた公約が果たされていないというものだ。初当選した2016年の選挙で小池が掲げたキャッチフレーズは「7つの0(ゼロ)」。具体的には「待機児童ゼロ」「介護離職ゼロ」「残業ゼロ」「都道電柱ゼロ」「満員電車ゼロ」「多摩格差ゼロ」「ペット殺処分ゼロ」となる。このうち部分的にでも実現できたのは「待機児童ゼロ」「ペット殺処分ゼロ」くらいで、他の5項目においては達成できていないとされている。
とはいえ、これらの公約から逆説的に見えてくるのは、東京都に本当の意味で深刻な問題点などないということだろう。確かにそれぞれの課題は解決できれば好ましいものではあるが、ハッキリ言ってそこまで重要な政治課題ではないだろう。
「すでに8年前の時点で都政に大きな問題はなかったんです。そうなると他の候補者と差別化するために実現が難しい努力目標のような公約を掲げるしかない。実際、他の候補者の公約も似たようなもので、誰がやっても結果は同じでしょう。むしろよくやっているほうとも言えますし、そこを責めても意味がありません」(前出・政治評論家)
ネットでは他にも小池都政の失策をここぞとばかりに叩く言説が飛び交っている。町山智浩などの左翼がこぞって取り上げている神宮外苑の再開発問題や、ネトウヨに貧困ビジネスと批判されたColabo問題、東京都プロジェクションマッピング事業「TOKYO Night & Light」の問題などだが、いずれも都民の生活全体から見れば些末な話でしかない。
「神宮外苑の再開発問題は、坂本龍一やサザンオールスターズの桑田佳祐が発言したことで全国的な注目を集めましたが、大企業が絡んだ正当なビジネスである以上、小池にはどうしようもありません。それに実際に影響を受けるのは都心の一等地に住んでいる高額所得者層だけですしね」(前出・政治評論家)
パヨクがなにかとやり玉に挙げたがる東京オリンピックにしても、そもそも誘致をしたのは石原慎太郎と猪瀬直樹で、小池はプロジェクトを引き継いだだけのこと。国家レベルの政治と利権が複雑に絡み合って動き出していただけに、小池がどうこうできる案件ではなかったことは明白だ。
電通やColaboに流れた金などはした金
小池批判の定番に「パフォーマンスばかりで中身のある政策はない」というものがあるが、これはその通りだろう。たとえば「東京の観光地としての魅力をさらに高めるため」といったもっともらしいお題目の下、今年2月からスタートした事業「TOKYO Ni ght & Light」都庁舎プロジェクションマッピングなどはまさにそのひとつ。しかもこの事業は東京五輪談合のペナルティで東京都から入札を禁止されていた電通の子会社がパナソニックと共に独占契約をしていた点も批判されている。