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『小山田圭吾 炎上の「嘘」 』を読んだ:ロマン優光連載301

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また、小山田氏が認めているいじめ行為は2つ。小学生の時に「沢田」を段ボールに閉じ込めて転がし黒板消しを叩いて白墨の粉をかけたこと。中学時代の「村田」をロッカーに入れて扉を下にして床に倒して出られないようにして、複数でロッカーを周囲から蹴とばし黒板消しを叩いて白墨の粉をかけたこと。

前者に関しては一度きりのできごとなのは明言されているが、後者に関しては定かではない。『クイック・ジャパン』での語り方だとたびたびおこなっていたようにも感じる。

小山田氏本人にこういった『クイック・ジャパン』のテキストに関する確認もしてほしかったと個人的には思う。あと、『女性自身』の社長発言についても。

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ただ、この事件には様々な問題(小山田氏が直接関係していないことも含めて)が内包されているが、この本ではネットで流布されていた「いじめ行為」のうち小山田氏が実際におこなったのはなんだったのかの検証、事実を確認しないまま報道したマスメディアの問題、それによって起こった小山田氏の被害などに主軸がおかれているわけで、すべての問題を網羅することは不可能だろうし、大筋と直接関係ない部分に関して検証がないのは仕方がないのかなとも思う。

中原氏自身が言っているように、音楽知識があまりなく、大筋ではそれが良い効果をはたしていると思うが、ところどころ微妙な感じがするところもある。サブカルチャー方面も同様。

90年代の小山田氏に関して、たとえば中原昌也氏(中原昌也氏は当時の病状からインタビューは不可能だったとは思うが)のような当時私的に行動を共にすることが多かった人たちにインタビューしたほうがよかったのではないかとも思うが、その時代の小山田氏の様々な活動に詳しくないとそういった関係性にたどりつけなかっただろうから仕方がないことかもしれない。

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本当にどうでもいいところなのだが、ポリスターレコードでフリッパーズ・ギターを担当したプロデューサー・牧村憲一氏の発言に、

「それに当時のパンクの掟は、『一日でも早く生まれたヤツ、デビューしたヤツをコケにしろ』でした」(P163)

とあるが、そんな「パンクの掟」は聞いたことがない。変。パンクの反権威主義について語っているのだと思うが、そういう言い方は変。

イメージが覆ることは難しい

この本の抜粋が文春オンラインに掲載されたのだが、「いまさら言い訳をして」といった内容のコメントをSNS上で多く見かけた。しかしそこに書かれている内容は『週刊文春』2021年9月23日号ですでに語られていることであった。いまさらというわけでもない。これまでも、この事件に関する事実関係の訂正はおこなわれており、小山田氏の音楽に関心のある層、サブカル層では既に知られていることも届かない層には届いてないということだろう。こういう事態は2021年の9月くらいから想像していたことだったが。

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