悪名高い滝沢ガレソが噂の発生源とあって、真偽は確かではない。というか、前川清の昔からこの手で真偽がはっきりした事例はなく、被疑者としても「白を切る」のが一番の対処法なのだ。いくらホクロの位置や耳たぶの形が一致していても、黒とは断定できないのだから。ビデオを通じて指紋判別やDNA鑑定ができる時代はまだ訪れていない。
ここで言いたいのはその真偽ではなく、ハメ撮り流出がゲイの世界ではさほどダメージがないという事実である。
前世紀ではハメ撮りに対するハードルは極めて高く、チャレンジする猛者はただのプロかめちゃくちゃガッツのある人間だけだった。しかしスマホ普及後、ハメ撮りへのハードルは一気に低くなった。誰もがハメ撮りをできる時代。未来において21世紀を振り返るなら、私はそう名付けるだろう。
しかし、機材的にはハードルが下がっても心理的なハードルは残ったままだ。ハメ撮りをしたい欲望と、自分のあられもない姿を晒す不安と万一の流出によるダメージ。天秤にかければ、おそらくほとんどの女性は後者の恐れのほうが圧倒的だろう。対して多くの男性は、前者の欲望のほうがちょっぴり上回るのではないだろうか。男同士であるゲイの世界で、ハメ撮りやエロ自撮りがルーティーン化してるのも無理はない。『ボーイフレンド』で、いい感じになった2人の片方が相手のスマホに収められていたエロ自撮りを発見してショックを受けるシーンがあったのだが、これなど私たちゲイの大半は「純粋なんだな」ではなくて「めんどくさいやつ」という印象しか受けなかった。
そもそもゲイの世界でハメ撮りが流出してしまうというのは、モテる証でもある。エロとしても嫉妬の対象としても、素材がイケメンでないと広まらないのだから。ブスのハメ撮りは存在していても誰も広めないし、そもそもハメ撮りのチャンスがほとんどない。
ここで思い出したが、そもそも私は25年前ゲイビデオのハメ撮りカメラマンだった。なぜかは知らないが、今に至るまでそれらのビデオは全く広まったことがない。
ジャニー喜多川:サムソン高橋連載1
鳥羽周作:サムソン高橋連載2
山川純一:サムソン高橋連載5
松本人志:サムソン高橋連載6
大谷翔平:サムソン高橋連載7
頂き女子りりちゃん:サムソン高橋連載8
PROFILE:
サムソン高橋(さむそん・たかはし)
鳥取県出身。ゲイ雑誌『SAMSON』 編集部で編集者およびライターとして勤務し、同社の『SAMSON ViDEO』も制作。2002年に退社。その後はフリーライターとして活動。能町みね子と同棲生活をしている。主な著書に、『世界一周ホモのたび』(ぶんか社)シリーズ。
twitter:@samsontakahashi