このところ「ポストセブン」が力を入れて批判記事を連投しているハムやソーセージなどの加工肉食品に関しても同様のことが言える。これらの製品に防腐剤や保存料として含まれる亜硝酸ナトリウムには発がん性物質ニトロソアミンを生成するリスクがあり、成人男性でもわずか2gで死に至る可能性があるのだという。近年は日本の食品業界でも亜硝酸ナトリウムの使用を減らし、一部のメーカーでは添加物を使わないナチュラル系商品への転換を進めているという。
そんな添加物が食品に使われていると聞けば恐怖心を抱くのは当然だが、ここにも叙述のトリックがある。この「2g」という基準値はあくまでADI(許容1日摂取量)に基づいた数字だという点だ。ADIとは、ある物質について、生涯、毎日摂取し続けても健康への悪影響がないと推定される1日当たりの摂取量のことである。
「危険性を喧伝する記事の多くは、この『生涯、毎日摂取』という大前提を意識的に触れないようにしています。問題視しているハムやソーセージであれば1日1㎏以上を摂取しなければこの数値には届きません。これだけの量を毎日食べ続けることが現実的でないことは、言うまでもないでしょう」
詐欺的な記述は食パンやハム製品に限った話ではなく、あらゆる商品に言えるだろう。1日に基準値に届くだけの大量の製品を摂取し、なおかつそれを毎日続けるのであれば、健康被害の可能性は高まるかもしれないが、もはやその時点で、必要な栄養素の不足や油や塩分などの過剰摂取など、明らかに健康を害する状態になることは明白で、あるかどうかわからない健康被害の可能性よりはるかに深刻な問題のはずだ。
「健康に害を及ぼす懸念がある」など断定を避けた記述
ここまで見ればもうお分かりだろう。一部週刊誌が「危険だ」「死を招く」などと煽っている食品添加物の大多数は、平均的な摂取であれば危険性はまずないのだ。もちろん100%安全というわけではないが、正確に言えば「現段階では健康に問題はないが、長期間にわたって摂取した場合にどうなるかは不明である」というだけのことを言っているに過ぎない。
身もふたもない言い方をすれば、あらゆる食品に関して可能性はあるわけで、その意味では週刊誌が喧伝する「危険性」はいたずらに読者の恐怖心をあおるだけの詐欺的話法でしかないだろう。
「こうした記事を注意深く読むと、ほとんどのケースで断定はしておらず、『〇〇になる可能性』『健康に害を及ぼす懸念がある』となっています。危険な添加物が使われているのは事実ですが、製造の過程でほとんど消失しており、よほど極端な量を摂取しない限り問題はないんです。それに、仮に添加物をなくせば食中毒などの健康被害が増えるはずで、経済的にも大混乱になるでしょう。そうした現実を見ることのできない無知な層がこうした情報に踊らされているのでしょう」