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蛭子さんは今、介護施設にいる:根本敬の「蛭子能収タブーなし!但し『ぼぼ』は禁句」連載13

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更にラスベガス、マカオ他世界中のカジノでも誰も人間はいないのに、スロットマシーンに「シャカリーンフォーメダル!」とばかりにコインは次々と投入され、またルーレットはルーレットで誰もいないのに札束は動き回り続けている。

人類も更にその他の生物も滅亡した地球なのだが、永遠にギャンブルだけは勝手に続いているのだ。

……とでもいうように無機的というかとてつもない虚無感を感じるのだが、しかしどこか嬉しくて幸せそうな蛭子さんだった

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頃合いをみて密かに持参してきた麻雀牌を出すとミニカーとかレゴを掴む子供のようにうれしそうにする。しかし私は麻雀のルールを知らないし、そもそもふたりでは麻雀はできない。

牌を掴んでニヤニヤしている蛭子さんに「健康麻雀なんてちっとも面白くないと思ってんでしょ、お金賭けないと面白くないよね、ギャンブルなんだから」と言ってみたら口を大きく開けて無言で笑いのけぞった。

そんなやりとりを続けるうちに最初は意味がわからなかった蛭子さんの言葉もだんだんと理解できるようになってきた。

コツが私なりに掴めたのだ。

要は言葉の分からない外国人と知ってるワードと大袈裟な身振り手振りと表情でなんとかコミュニケーションをとる、あの感じで意思疎通できるようになるのだ。

そうこうするうちに時間が来た。

牌は置いて行くとうっかり齧ったりうっかり飲み込んでしまうかもしれないのでしまって持って帰る。

別れ際蛭子さんに「じゃあね、また来るから」と言ったあとあらためて「俺、根本だよ、分かる?」と尋ねたら「えー! 根本サン?」と驚いていた。

 

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PROFILE:
根本敬(ねもと・たかし)
特殊漫画家、エッセイスト。1981年に、『月間漫画ガロ』で漫画家デビュー。代表作に、漫画では『生きる』『怪人無礼講ララバイ』『龜ノ頭のスープ』、活字本では『因果鉄道の旅』『人生解毒波止場』など。

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