立憲民主党などの調査では、去年から今年にかけて、届け出が不要な20トン未満のコメを買いあさった流通業者や卸業者は7万社あるとも言われているが、その背景にあるのは何か。
農業政策に詳しい立憲民主党衆議院議員は「コメが投機の対象になっている部分もある」としてこう続ける。
「コメが品薄になって、そうした小規模の取引をする仲介の卸売業など販売事業者が直接農家から買って保管し、価格を見ながら高値が付いたところで消費者に出していくような動きがあるのではないかと考えます。実際に調査したケースでは、コメには関係ない建設会社が、投機のために20トン未満のコメを直接農家から買い入れ、倉庫にキープしているケースもあります。この建設業者は、もう少し値が上がったら売り時で近所のスーパーなどに出すと話しています。ほかにも今年コメは儲かると手を出している中堅企業などの仲間はたくさんいると、この建設業者は言っていました。違法ではありませんから彼らも悪いとは思っていませんね」
農産物を扱う東北の市場関係者も、コメ不足の背景として同様の見方をしている。
「一部の卸売業者や生産者などが、価格高騰をうけて、より高く売れるタイミングまで、コメを余分にストック。そのため、市場に出回る量が減り、引き続き高値になっているとみられています。個人や中小の業者から、これまでの集荷業者よりも高く買いますよと言われれば、農家からするとうれしいですよね。そして、農家は別に売った後のコメの行先は関係ないので把握する必要がありません。だから、売ったコメが消費者に届いているのか、あるいは買い占めて倉庫に保存されているかなど誰にもわからない。こうして行方不明のコメが発生します。自由に取り引きできるメリットの反面、このようなことも起こりうるということが、今回如実に表れたかなと思っています」