その夏の岩手県大会。花巻東との決勝戦に彼は出場しなかった。ケガをしたからではない。痛みがあったわけでもない。ただ……。ケガするかもしれないからという理由で。
どんだけ過保護!
「中学最後の試合はまだしも、高校最後の試合、しかも球児の夢である甲子園出場がかかった試合で、ケガ予防の登板回避させられるなんて……俺って『球界の宝』なんだな(ニヤリ)」と思い込んでも仕方のない過保護っぷりである。
結果、天上天下唯我独尊感が強まったのは間違いないだろう。
連続完全試合を肘の張りで回避
ケガ予防のために県大会決勝登板回避という高校野球史上あり得ないことがメディアで賛否の渦を巻き起こし、知名度が格段に上がったこともあってか、ドラフトでは日ハム、ロッテ、楽天、西武の4球団から1位指名を受けた。抽選の結果、ロッテが交渉権を獲得し、入団する。
初代怪物・江川卓も、平成の怪物松坂大輔も、1年目から先発で投げていたので当然、令和の怪物もと思いきや、1年目は肉体強化だけ。二軍登板もなく、肉体強化だけ。ていうか、1年を通して一軍に帯同しながら登板はなく、肉体強化だけって……。
どんだけ過保護!
こんな扱いを受けたら、自分は特別なんだと思って当然だし、周りに何も言わせないと、自己中に拍車が掛かって然るべき事態。
例えば春期キャンプ中にある記者が「ブルペンでは何割くらいの力で投げましたか」と、調整中の投手に対するありきたりな質問をしたところ、眉間にしわを寄せて凍り付いたという。
え!? どういうこと?