黒猫 希望的観測も含めてですが、あまり持続しないような気はします。先ほども言った通り、ここからは延々と叩かれ続けるフェーズに入るわけです。そうすると、寄ってくる人も極端な人くらいしかいなくなり、いざこざや内部崩壊のリスクが高まる。マイク納めで大量のカウンターが抗議に詰めかけているのを見て、知り合いの陰謀論ウォッチャーが「こうなったら終わりだな」って言ったんですよ。私もそう思うんです。在特会にしても何にしても、強気に振る舞うヘイトスピーチ活動家たちって、カウンターを喰らい続けると結局は活動がゼロにはならないものの規模的には衰退している。
――メディアによる参政党批判も含めて、批判に必要なポイントはどういったところでしょうか。
黒猫 いろんなメディアの人から連絡が来ましたが、「一般的な政党の感覚からかけ離れすぎていて、どう扱っていいかわからない」という様子でした。「あれは陰謀論集団です」「トンデモです」「(幹部や人気候補者たちを)新興宗教の教祖だと思えばいいんですよ」という説明をしました。一般的な政治家や政党の感覚で扱おうとするから、ワケがわからなくなるのだと思います。実際の報道では、選挙中でも参政党の問題や神谷氏などの問題発言をしっかり批判的に取り上げるメディアが多く、かなり頑張ってくれた印象です。ただ、スポーツ新聞はだめですね。批判的姿勢を持たずに参政党の話題をそのままネタにする傾向が強すぎます。
――参政党以外の政党や候補者で、目をつけていたものはありますか。
黒猫 元参政党の吉野敏明氏と、彼が代表を務める日本誠真会。それから、医師の内海聡氏と彼が代表を務める無所属連合。いずれも反ワクチンで陰謀論の人たちですが、それが手を組まずに群雄割拠になって全員落選しました。それから排外主義系の日本保守党(石濱哲信代表)と無所属の平野雨龍氏です(いずれも落選)。吉野・内海両氏も排外主義的要素は強くて、そこが概ね共通していました。微笑ましい泡沫候補を楽しむみたいな感じで選挙を見ることは、もうできないのかなという感じですね。
――陰謀論界隈で排外主義がトレンドになって、もともとの排外主義系も含め「諸派」に排外主義がはびこってしまっている。
黒猫 排外主義に限った話ではないんですが、トンデモはトンデモとしてちゃんと対応しなきゃいけない。我々が批判しなければいけないのは、その他諸々も含めた「参政党的な人たち」だということを、ちゃんと考えなければいけないですね。
取材・構成/藤倉善郎
初出/『実話BUNKA超タブー』9月号
