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『クローズ』『WORST』の続編が!:ロマン優光連載367

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その新しさはスピード感とビジュアル面にあったと思う。

登場人物が基本的に男性であり、恋愛要素がほぼ絡まないこと。不良同志のバトルやその合間のだべりだけで物語が進み、授業や文化祭・体育祭といった学校行事などの描写がほぼないこと(例外的に入学式・卒業式は描かれるが、そこでの乱闘などを描くための舞台装置ぐらいの役割ではないだろうか)。

『クローズ』では、抗争→日常回(ギャグ回・人情話回・恋愛回等)→抗争(中編→短編→中編)といった形で各エピソードが独立している不良漫画によくある構造は取られていない。大きな抗争の後には不良たちの日常を描いたエピソードが描かれるが、それぞれのキャラクターと関係性の強調を行いつつ、次のバトルに誘導していく役割が与えられている。

恋愛要素や学園生活などが排除されていること、エピソードごとに断絶されずに物語に進んでいくことによって、それまでの不良漫画にないスピード感が生じている。

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また、登場人物の髪型や服装の多様性、従来の「暴走族漫画・ヤンキー漫画」には見られなかった現代性(傾向の偏りはあるにしろ)に新しさがあったといえる。

当時、現実の都市部での不良のファッションの変容に漫画が追い付いていない部分があったが、そういった部分でも高橋ヒロシは革新的なところがあった。

『クローズ』の持つ、それまで「暴走族漫画・ヤンキー漫画」に見られなかった新しい要素は後続の不良漫画に大きな影響を与え、現代の不良バトル漫画でその影響下にないものはほぼ存在しないと思われる。

現代的不良漫画のオリジンである『湘南爆走族』を描いた吉田聡が1995年に連載開始した『荒くれKNIGHT』。

高橋以前にデビューし、地元広島を舞台にした暴走族漫画・『BADBOYS』(88年)で人気を得た田中宏による『BADBOYS』の続編『BADBOYS グレアー』(96年)。

両作品共に不良漫画の揺るぎない傑作のひとつであるが、以前の作品と比較するとこれらの作品にも『クローズ』以降というものがうかがわれ、これは真似をしたとかいう話ではなく、『クローズ』というものを視界にいれながら、自分がどういうアプローチでさらに自分の作品をつきつめていくかを考えた結果ということなのだと思う。

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