今年前半ライター業はほぼゼロ
滋賀県出身、日本大学経済学部入学、26歳までバンド活動をおこなってきた。
「ボーカルで化粧もしたり、腰まで髪がありました。ニューウェイブ系です。アマチュアでやってきて、それなりに人気が出ましたけどプロにはなれなかった」
競売物件を入手し、手入れして貸し出すことをやったり、施設設備管理の仕事をして定期収入を得てきた。
「食いっぱぐれはしないですね。ストイックにすべてをかけてやっているというより、気が楽です」
20年近く、世間もマスコミも忘れかけていた旧統一教会の問題を追いつづけてきたが、経済的にはほとんど見返りがなかったはずだ。
「そうですね。一銭にもならなかったですね。統一教会の施設を訪ねたら、“まずはインターホン鳴らしてから来るのが普通でしょう”と言われて、後からインターホン押しに行ったりして(笑)、カルトいじりをしながら楽しみつつやっていました。ここ10年書いてきて、原稿がまとまったので、いくつかの著名なノンフィクション賞に応募したけど、落ちつづけてきました。雑誌でも宗教ネタ・政治ネタも書けなくなってきて、コアマガジンから声をかけてもらって書いたくらいで、今年になってからライター業はほぼやっていなかった。オファーがないから」
去年9月、安倍晋三元総理大臣がビデオメッセージを旧統一教会向けに送った。
「一部メディアで取り上げられたけど、大手は一切取り上げなかったです。あのビデオも1日限りで、あとは表に出すなという条件でした。それ以前も安倍元総理と教会との関係の裏はとれていたけど、いざとなったら安倍は言い逃れができる。でもビデオメッセージで安倍と教会が結びついたので、僕としてかなり衝撃だったんです。安倍元総理は弁護士団体からの抗議文は受け取らないから、教会との関係をおおっぴらにしたわけではない。でもその日だけとはいえネットでビデオメッセージは広がりました。それでも自分と政治生命、選挙、自民党にはなんでもないとたかをくくっていたはずです。これを報じたのは、赤旗・週刊ポスト・FRIDAY、それにこの実話BUNKA超タブー、4誌だけでしたから、安倍さんの見立ては正しかった。でも政治生命には影響なかったが、自分の命自体が奪われてしまった皮肉な結果になりました」