漫画好きの識者の方々に、思い入れのあるバッドエンドを挙げてもらった!
PROFILE:
劇画狼(げきがうるふ)
特殊出版レーベル・おおかみ書房代表。プロ作家の単行本未収録作品の書籍化や書評、イベント司会、原画展企画などを行う。
X:@gekigavvolf
底辺マイナスの状態からゼロの結末
バッドエンド作品3選ということで、まず最初はバッドエンドというか全編通してただ最悪な『どぶさらい劇場』から。
結末の解説ありきのお題なのでネタバレを気にせずあらすじを説明すると、主人公のエリ子が無保険ポルシェで人身事故を起こし7000万の負債を背負い、服役中に父の経営する会社もバブル崩壊の余波で倒産。恋人にも見捨てられ、事故の被害者である岸本家で介護を押しつけられ奴隷同然の扱いを受け軟禁されることになる。1カ月後、岸本家の息子である怪物・きよしの腕を斧で切断し脱出を試みるが失敗、罰としてボットン便所の中で飼い殺しされることになり発狂。精神が分裂し、完全なる聖人となったことで人の病気や怪我を触れるだけで治す力に目覚め、新興宗教「大日本まごころ教団」の乗っ取りに成功。生き神様として祭り上げられるが治癒能力を向上させるためにシャブ漬けにされ、意識だけが時間を逆行し昭和46年の東北に住む性犯罪者・茂作の脳内に転生し10年。完全に自我を失い工場街の売春婦と化していたエリ子の肉体と、それを買いに来た茂作が交わることで久々にエリ子の精神は一つに統合された。元の人格に戻り物語は綺麗にまとまるのかと思われたが一切そうはならず、分裂した二つの人格が統合されても大して変わることがないのであった。…という、底辺マイナスの状態からゼロの結末を迎えることになる。
つまり、バッドエンドか否かという以前に最初っから最後までずっと最悪だった話の筋を延々と述べただけで、「不幸で悲劇的な結末」かどうかという今回の企画の趣旨とは全然違うのかもしれない。1位です。
