第3回 ryuchell
性は多様だ。ストレート、バイ、ゲイときっかり分かれているわけではなく、その間はグラデーションになっているのだ。
ゲイでありながらも、その当たり前の事実が飲み込めたのは、比較的最近だった。なぜなら私はゲイの中でも最右翼、根っからのドホモだからである。
スーパー銭湯やサウナで目の前を通り過ぎる様々な陰茎。これらを私は古代ローマ貴族の気分で優雅に眺めているのだが、ノンケの方々はこれに耐えられるのだろうかと昔から不思議だった。目の前を様々な女性器が通り過ぎたなら、私はショック死してしまう。
「陰茎なんて見るのも嫌!」というノンケ最右翼の方々は、最初からこういう場所には来ないのだろう。ということは今銭湯やサウナに来てる方々は「陰茎、まんざらでもないよ?」ということではないだろうか。こういうところでうっかりノンケに手を出して問題を起こすゲイの気持ちがわからなくもない(ダメですよ)。
それでいえば「昔はノンケだったけど、男に手を出されたきっかけでゲイになった」なんていう人もけっこういたりする。
嘘つけ! 女性器をク●ニした時期の後に陰茎をフ●ラする時期が訪れるなんて、そんな性別が変わる熱帯魚みたいなこと、人間に起こるわけがないだろ!
と以前の私は思っていた。だが、実際に自分の身に起きてみないと事態をちゃんと把握できない人は一定数いるのである。「これが人生最初で最後の女性器ね!」と叫びながら産道を通り抜けた私のような揺るぎないホモのほうが少数派だったりするのだ。
FTM(元女性のトランス男性)が男と付き合ってる、つまりゲイとして生きる元女性という頭がこんがらがる例は少なくないし、私もゲイビデオ制作会社員時代、ケツ穴をガン掘りされて嬉ション漏らす既婚ノンケの撮影などをして、性の多様さを思い知ったりしたのだった。
ryuchellの話である。
この原稿を書くまで「いつの間にりゅうちぇるから改名してたの?」てくらいに追ってはいなかった私でさえ、急激な女性化〜核心をぼかしたカミングアウト〜それからの大バッシングはよく知っている。
今振り返ると、この急激な変化がここ2年足らずだったことに驚いてしまう。