世間を揺るがす松本人志の性的スキャンダルを受けて同時に噴出したのが、松本の人格を問う声だ。その松本の人格を紐解くにあたって参照すべきが『遺書』、続編の『松本』である。表現の酷さもさることながら、矛盾も非常に多い。当時はほとんどの人が読んだ、そんなベストセラーの中身を振り返ってみよう。
女性差別は当たり前
今や、芸能界随一のご意見番となったダウンタウン・松本人志。その影響力はすさまじく、彼の言葉ならすべてを是とする空気もあるほど。
しかし、〝あの〟松本人志の言うことをそこまで信用していいものだろうか? 他人を蔑み、嘲笑い、差別表現すら「笑い」の名のもとにやり倒してきた、あの松本人志だ。芸能ネタだけならともかく、政治や経済、国際問題にまでいっぱしの良識派気取った台詞を吐いているのを見ると、片腹がモヤモヤと痛む。
言葉の信頼性は、発する者の行動によって担保される。当然、過去の言動との一貫性も保たれていなければならない。当代一のコメンテーター松本人志のご託宣が信用に足るものか、過去の発言を振り返り、きちんと検証してみたい。
ここで注意すべきは、ネット上に数多ある「まとめサイト」の類いだ。捏造や改変、誤謬が氾濫し、不確かな情報が定説化。それこそ信用がならない。
たとえば、「松本人志名言集」と名うつ類のサイトでは定番の「ほんまに君に金髪が必要なら金髪に生まれてきてるはずや」という台詞。松本の著書『遺書』からの引用とされているが、実際に同書をめくっても、そのような文言はどこにも見当たらない。
ただ、当時の松本が金髪や茶髪にどのような印象を抱いていたか、それが分かる記載は『遺書』のなかにもある。
「選手の中にも不愉快な奴が多くて、日焼けサロンに行ってる奴とか、髪を染めてる奴、プレー中に襟立ててる奴(そら、イラクに勝てんわなー)。そんなヒマがあったら、もっともっと練習しないとダメよ」
1993年、サッカーW杯最終予選に沸く日本国民へ、根拠のないイチャモンで冷水を浴びせている。
また、別の項には「オレはよー、服装に気を使うほどヒマやないのよ。そんな時間があったら、ショートコントの一つでも考えるわい」とも。