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庵野秀明版『宇宙戦艦ヤマト』始動:ロマン優光連載311

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311回 庵野秀明版『宇宙戦艦ヤマト』始動

106日、自身が企画・プロデュースしたイベント「『宇宙戦艦ヤマト』50周年記念上映」に司会として登壇した庵野秀明氏から「ポイジャーホールディングス株式会社(代表取締役・西崎彰司)様より、『宇宙戦艦ヤマト』をベースとした新作アニメ映像を製作する権利を付与されるとともに、株式会社東北新社様からは著作権の利用につき許諾も得ました」「平たく言うと、僕が新作を作ることができるようになった」といった報告がなされた。

要するに『シン・宇宙戦艦ヤマト』が制作されるということだ。

知らない人もけっこういると思うのだが、庵野氏のものとは別に2012年から『宇宙戦艦ヤマト2199』を皮切りに始まったリメイク版のアニメシリーズがある。同イベントで庵野氏と共に登壇していた出渕裕氏(メカニックデザイナー、キャラクターデザイナーとしても高名)が1作目『宇宙戦艦ヤマト2199』(庵野氏も少し関わっていた)で総監督をつとめており、第1話で土方艦長が作戦本部にいる姿を見たときはグッときたが、庵野版にも参加するとのこと。あのリメイク版、テレビシリーズ2作目以降に主要スタッフが入れ替わって驚いた。なんでだろう。

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庵野監督のヤマト好きは作品にストレートな形で反映されることが度々あり、『ふしぎの海のナディア』でヤマトの発進シーンを完璧に再現したことが有名。主砲の発射音に当時のヤマトで使われた音をわざわざ借りてくるほどの凝りようで、ほんと、この人はヤマトのことが好きなんだなと思う。

『シン・ゴジラ』の成功によってブランド化がされたシン・シリーズだが、『シン・ゴジラ』『シン・ウルトラマン』(監督ではなく企画・脚本・総監修等を担当)『シン・仮面ライダー』と続くにつれ、監督のオタクとしてのこだわりが強く打ち出されていく傾向が見られる。個人的な作品としての度合いが増し、一般性がどんどん減っていっているともいえる。

『シン・仮面ライダー』は庵野監督による「僕の考えた最高の仮面ライダー」であり、監督との仮面ライダー観の違いで全面的にのることができない一方、監督のライダー愛だけは強烈に伝わってくるので嫌いにはなれないという不思議な体験をした映画だった。

この流れで考えると、『シン・宇宙戦艦ヤマト』はより監督の個人的な色彩を帯びた作品になるような気がするし、リメイク対象となる作品も観に行く層が、今までで一番限られている作品だと思う。ただ、だからこそ期待しているところが自分にはある。アニメだし。

年下の編集者「本当につまらなくて驚いた」

昨年末、『宇宙戦艦ヤマト 劇場版』『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』の2作品が4Kリマスターされた4K ULTRA HD Blu-ray&Blu-ray Discが発売されるのを記念して、両作品が劇場公開されたのを観に行った10歳ぐらい年下の編集者から「『宇宙戦艦ヤマト』って、何で人気があったんですか? この前みたら本当につまらなくて驚いたんですが」と言われ、彼の依頼でそのことをテーマに原稿を書いたことがある。当時としては革新的だった要素が影響を与えた後続作品によって次々と更新されてしまったため、現代の人間から見るとありふれたもの、いたらないものに見えてしまうのだろうということを書いた。

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