369回 『陰謀論と排外主義』という今読むべき本
今まで選挙に興味を示したことすらなかった知人と久しぶりに会ったら、参政党に投票していたという体験をして頭を抱えたくなった人も多いかもしれない。
Xで相互フォロワーだった人がそれまで政治的な投稿をしていなかったのにいつのころからか、河合ゆうすけやへずまりゅうをRPしていることに気付いて驚いたことのある人もいるだろう。
直接の知り合いではないがSNS上でよく見かける同じ趣味を持っているアカウントが平野雨龍のことを「日本を救う逸材」であると褒めたたえていたり、さとうさおりを応援しているのに気付いてしまった人もいるかもしれない。
好きなアーティストのライブの後にアーティストの名前で検索してみたら、奈良公園の鹿や中国人留学生について何やら義憤にかられた発言をしている人が同じ会場にいたことを知るという経験をした人もいるだろう。
いや、これを読んで「それの何が悪いの」と心から疑問に感じる人もいるかもしれない。久しぶりにあった知人は昔と変わらない温厚で優しい人柄のまま、友愛の念をこちらに示してくれることのほうが多いだろうし、SNS上のその人たちもそういう点が気にならなければ、いたって普通の投稿をしている普通の人でしかないのが大半だ。
新型コロナ禍の中、SNSでたまに見かけていたオタクが変わってしまった日常に耐えきれなかったのか突然「コロナはただの風邪」「反マスク」の人になってしまい、その後「ワクチンは陰謀」にまで順調に成長していき、現在も帰ってくることなく、そのエキセントリックな投稿が続いているという哀しいケースも世の中には存在するのだけれど、そういう人は認知の歪んだ投稿が多く、彼岸の人になってしまった感が出ているのに、最近増えてきた上で触れたような人は本当に普通の雰囲気の人が多い。
本人は別に政治的なことも書かないし、そういった内容の投稿をRPしないけど、RPしている面子の中に陰謀論・排外的発言をしているアカウントが混じっていて、その人はたまたま流れてきたのを拡散しているのか、実はそういったアカウントを支持してる人なのかがわからず、落ち着かない気分になることも増えた。
選挙のたびに陰謀論・デマに基づいた聞くに堪えないヘイトスピーチを耳にすることも増えていく。
それぐらい、排外主義や陰謀論、それに基づいた政治運動が日本の社会に入り込んでいる。
