たまたま隣人の男が短気だったのか? 否、鬱々とした気分のときに家の近所でワーキャー陽気な声を聴かされれば、殺したいとは思わないまでも誰だって「うるさすぎて腹が立つ」くらいの感情は抱くものであろう。
そこまでしてやる必要のあるものなのか? やる意味があるのか? 殺されるような危険を冒してまで、グループでのコミュニケーションを図らなければならないのか?
楽しい宴のはずが山火事、溺死
2010年7月、愛知県に住む会社員宅の庭でバーベキューの準備をしていたところ、火のついたジェル状の着火剤が飛び散り、近くにいた知人の妻が顔などに火傷を負って意識不明の重体になった事故が起きた。
普段は台所以外で火を見ることがほとんどない素人が、遊び半分で火を扱ってしまうのがバーベキューの怖いところ。楽しかったはずのパーティーが一転して不幸な過去、消したい過去、トラウマになってしまうのがバーベキューなのである。
2017年4月、宮崎県延岡市の城山公園で花見をしていた大学生らのカセットコンロのボンベが爆発する事故が発生した。調べによるとカセットコンロ2台を並べ、その上に大きな鉄板を置いてバーベキューをしようとしたらしく、それで熱がこもって爆発したと見られている。男女6人が火傷などのケガをしたが、幸い命に別状はないとのこと。
ちなみに2016年7月には北海道大学の理学部敷地内で学生がバーベキューをしていて炎上。ヘリコプターが消火活動に参加するほどの騒ぎを起こしている。
大学生ならばカセットコンロの取り扱い説明書くらいは読めるだろうし、ましてや北海道大学理学部の学生なら火の危険性は最低限知っているはずなのに起きてしまう火災事故。バーベキューがいかに危険なものか、よくわかるであろう。
2014年5月、兵庫県赤穂市で山火事が起きた。2日間に渡り、甲子園球場約18個分の山林を焼き尽くす大火災。森林法違反の疑いで逮捕されたのは、同市の男性会社員だった。
山火事のきっかけは「母の日」の5月11日。男性会社員宅の庭でバーベキューパーティーを楽しんだ後、自宅裏にある雑木林にバラまいた炭火から出火した。火は麓から山頂に向かい、一気に燃え広がったという。
約21時間後に鎮火したが、消火活動に消防団員がのべ52人、消防車がのべ61台、県や自衛隊のヘリのべ7台が出動。近くを走る山陽自動車道が一時通行止めになる事態となった。けが人や建物への延焼がなかったのは幸いとはいえ、とんでもない迷惑である。
バーベキューとか、ホント勘弁してほしい。
2012年には藤沢市役所の食堂で、火災報知器を外してまでバーベキューをしていたとして市長や市幹部らが書類送検されている。
2023年5月には福岡県柳川市の美容専門学校の敷地内で開いたバーベキューで教員が炭に吹きかけた消毒用アルコールにより、男性4人が火傷、うち1人が死亡。400人を超える学生らが恐怖のどん底に叩き落された。