秋葉原まで電車で17分という罠
埼玉県の東部に位置する八潮市。人口約9万人という小さな街が、2025年1月28日に起きた道路陥没事故で全国に知れ渡った。
ニュース画像によるとあまりにも大きな空洞が放置されていたことがうかがえたので、現場はどんな場所かと向かったところ……。
市役所から目と鼻の先なんですけど!
これはヤバいと取材を進めたところ、八潮市政によるリスクマネジメントの低さが随所に見られるマッドシティだったのである。そこで八潮市に住んだらどんな地獄が待っているのかシミュレートしてみよう。
もしも地方から転勤してきた家族が八潮市に新居を買ってしまったら。
「私の名前は八嶋八郎。青森県八戸市にある支社に長年勤めてきたが、この度、晴れて東京本社へ栄転することとなった」その名や住んでいた地名から察する通り、ラッキーナンバーは「八」だと思い込んでいる男。
「今回住む場所も八の付くところにしようと調べたが、八重洲は都心過ぎるし、八王子は遠すぎる。都内はあきらめてエリアを広げると、なんと本社のある秋葉原まで電車1本で17分という好立地の八があった! 埼玉県八潮市!!」
市内に鉄道駅がなかった八潮市……もう一度言おう。
首都圏なのにもかかわらず、市内に鉄道駅がなかった八潮市に路線が通ったのは2005年のこと。首都圏新都市鉄道つくばエクスプレス線(略してTX)の開業と同時に八潮駅がようやく誕生した。
それからさらにしばらく経って、やっと通勤快速と区間快速が停車するようになり、宅地化が進んでいる。
「都合良く、八潮に社宅があるわけなし。高校受験を控えた息子がいるので、3LDKの家賃相場を調べると月12万円くらいかぁ……ん? 新築の一戸建て物件が3500万円で月々8万円からだとぉ!」
早速、内見に向かった八嶋家族。八潮駅まで自転車で5分、バスで5分、徒歩20分の中川近くにその新築はあった。