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甲子園主催の朝日新聞が運動部の「熱中症リスク」を指摘する欺瞞

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朝日による狡猾なリスクヘッジ

もちろん、この「弱点」は朝日新聞社の幹部たちもよくわかっているので、あの手この手で「夏の甲子園」と、自分たちの言論活動に整合性がとれるように、涙ぐましい努力をしている。

今回のような「お前らが炎天下のなかで運動するなとか言うな」という批判もしかりで、彼らなりにちゃんと先手をうっている。

それが2018年5月27日に朝日新聞社主催、日本高野連が後援したシンポジウム「スポーツと熱中症」だ。ここでは、日本高野連会長が基調講演をおこない、理学療法士の待機などの対策のほか、今年から延長十三回以降はタイブレーク制を導入したなど、「熱中症が起こらない高校野球」を目指す取り組みを紹介している。

また、冒頭の熱中症記事を執筆された中小路徹編集委員がコーディネーターをつとめたパネルディスカッションもおこなわれているのだが、そのやりとりを見ると、どうにも「主催者に対する忖度」があるのではと感じてしまう。

たとえば、中小路編集委員が、「夏の甲子園など、炎天下で試合をすることを変えられないかという質問が会場の皆さんから来ています」と水を向けると、元巨人軍の仁志敏久氏が「なかなか変えにくい。相当な反発もありうるので、その辺は難しいところです」と火消しにかかり、ほどなくすると今度は元ラグビー日本代表の大畑大介氏が「夏は危険、ダメではなく、置かれた環境にしっかりと対応することが大事だと思います」と述べているのだ。

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いずれにしても、このシンポジウムやそれを報道した記事というものが、「お前らが炎天下のなかで運動するなとか言うな」という批判に対する「反論」として朝日新聞社と日本高野連が用意したものであることは明らかであろう。

つまり、彼らは「夏の甲子園」というアキレス腱を、「でも、私たちは熱中症対策をしっかりやっていますからね」という情報戦を仕掛けることで、どうにかリスクヘッジをしようとしているのだ。

ただ、これは焼け石に水的な「対症療法」だと言わざるをえない。今年の猛暑はそれでなんとかのりきれるかもしれないが、「教育現場の危険」「子供への強制」「軍国主義」などというワードに脊髄反射で反対の声をあげる「朝日新聞」の言論といずれ決定的な破綻が生じるのは目に見えているからだ。

先日も、オックスフォード大学ロイター・ジャーナリズム研究所がおこなった調査で、「日本の有力紙のなかで最も信頼度が低い」という衝撃の結果がでた。

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朝日の愛読者たちからすれば、「それはネトウヨが誹謗中傷を繰り返すからだ」と腹をたてるかもしれないが、ここまで人心が離れているのは、野党のみなさんと一緒で、他人の批判はこれでもかと饒舌なのに、自分への批判になると途端にモゴモゴと口ごもったり、名誉毀損をちらつかせて口封じに走ったりという「ダブルスタンダードの罠」にハマっていることも大きい。

甲子園に象徴されるような「我々にはその批判はあてはまらない」というご都合主義や特権意識を克服しなければ、いつまでたっても、朝日新聞の信頼度は上がることはないだろう。

ただ、残念なことにこの組織は自浄作用が働かない。当然だ。常に自分たちが正しいと思っている組織は、我が身をふりかえることができるわけがない。だから、外部の人間からどんなに叩かれても、「またアンチがおかしな因縁をつけている」と耳を塞ぎ、より頑なになっていくのだ。

この悪循環を断ち切るのは、「内部告発」しかない。つまり、朝日新聞の社員が自ら声をあげ、ダブスタに異を唱えていくのだ。もちろん、自分の組織に弓を引くのは怖いかもしれないが、そういう方は、冒頭で紹介した、炎天下で運動しないことを呼びかけた記事の最後を読んでみてはいかがだろうか。まるで自社のダブスタに疑問を抱く記者たちを奮い立たせるような素晴らしいことが書いてあるので、これを引用して本稿のまとめてさせていただきたい。

《仲間の様子がおかしい時、自分や仲間を守るために、声を上げましょう。とても勇気がいることです。でも、みなさんの方が正しい場合がきっとあります》

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文/窪田順生
写真/朝日新聞大阪本社の本社ビル、中之島フェスティバルタワー、Wikipediaより(撮影/Oilstreet)
初出/実話BUNKA超タブーvol.36

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