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映画『福田村事件』森達也監督が考えるコロナ禍と「集団化」

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「世の中は白か黒じゃないんだもん。議論は大事だけど、無理に結論を出さないことも大事だと思うんです。最近『論破』ってシンボリックな言葉があるけど嫌だなと思ってて。議論は勝ち負けとか白黒じゃないっていうのが僕の意見」

30年以上も続いている田原総一朗さん司会の討論番組『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系列)も結論は出ませんが、視聴者がいろんなことを考えながら議論の過程を見ることが大事だと感じているそうです。

「コロナにしても、ただの風邪の側面もあるだろうし、ただの風邪じゃない側面もあるだろうから、それをどっちかに持って行こうっていうのはすごい不毛だなって思います」

白か黒だけにするのは、いろんな色を見逃して自分の人生をつまらなくすることだと森さんは言いました。

ワクチンと東京五輪について

森さんはたった2年で開発したワクチンを「本来は体に入れるべきじゃない」と考えています。

「でももう2回接種しました。20~30年経って、朝起きたらみんな豚になってましたみたいなことがあってもおかしくない自覚はあります。ただ重症化や誰かに感染させるリスクと天秤にかけたら、僕はワクチンのリスクを取ります。あんまりそういうこと気にしないほうなんで」

森さんの周囲にもワクチンは打たないと明言している人たちはいるそうです。ワクチンの是非に限らず、森さん自身が情報を見極める際に何を頼りにしているか訊くと、「どっちをたくさんの人が支持してるんだろうってことですね」と意外な答えが返ってきました。常にマイノリティに目を配っている森さんが、多数決を指針にしていたのが意外だったのです。

「基本的にはね。そりゃあそうでしょ。専門家がこっちって言うならそれが正しいかなって思うけど、専門家の意見もバラけてるんであれば数が多い方を僕は優先してる」

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ただ、と強調してから「これが100人中99人が右って言ってたらおかしいと思う」と続けました。「全員が同じ方向を向いてるって気持ち悪いじゃん」。でも「60対40くらいだったら、60のほうかなと思う」そうで、「60がおかしいなと思ったら40に変えれば良いわけだしね」とのことでした。

オリンピックにしても、同じように森さんの周囲には「1秒も見ない!」と宣言している友人もいるそうですが、森さん自身は「見ましたよ」とあっさり。

そもそも森さんは昔からオリンピックの閉会式が「無礼講だから」大好き。アラブの選手とイスラエルの選手がハグしてたり、北朝鮮と韓国の選手が手を繋いで入場したりしていた光景が思い出されます。

あの閉会式のように、集団を大事にしながら、あっちに行く人がいたり、こっちに行く人がいたりすれば、集団化も緩和されるのにと思います。全員が同じ方向を見て一挙手一投足まで揃えて行進するのではなく、「みんなの視点をばらけさせていい」と森さんは言います。

「僕は最初コロナで国境がなくなるって思ったんですよ。保守の人はそうは思わないだろうけど、僕は国境なんていらないと思っててね。ウイルスは特定の民族やイデオロギーを狙うわけじゃなくて世界レベルで一緒だから、国境なんてどうでもいいやってなるかなって思ったんです」

でも甘かったと森さんは言います。大好きだった閉会式の光景も、変わってしまいました。過去に感動したようなシーンはほとんど映ることがありません。それは実際の閉会式が変わったわけではなく、「日本のテレビが変わっちゃった」からです。

「本来のオリンピックの意義として、世界の人たちをもっと見たいんだけど、試合風景も日本人選手ばっかり映すんだよね」

それは日本社会が変わったからだと森さんは考えています。

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