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地下アイドルの定義:ロマン優光連載258

連載
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吉田豪氏が地下アイドルと枕営業について語っていたことを自分なりに補足しながら説明すると、

◯外部とのコネクションが希薄な地下アイドル業界には、いわゆる枕営業といえるようなものはほぼない。よくあるのは運営によるメンバーに対する性的強要・性加害である。

◯運営とメンバーの間には権力の不均衛があり、運営の要求を断るのは容易でなく、同意があるように見えても、実質は強要にすぎない場合が多い。

◯「地下アイドルの枕営業」という実情にそぐわない奇妙な言葉は実際の性加害をぼやけさせてしまう問題がある

これはたいていの人が読み取れることだし、地下アイドルについて詳しい人なら同意する人も多いだろう。

それに対して荒井氏は、地下アイドル界での枕営業の強要についての話だと誤読した上で、地下アイドル界の枕営業は本人による自発的なものがほとんどであると主張している。また、最近の女性は枕営業を自発的にやっておきながら、後になって無理矢理やらされたとして金銭を要求するという主張もあり、男性の加害性を漂白し、女性に責任転嫁をしようとする内容だ。

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引用した彼のポストのいくつかから読み取れるのは「女が悪い」という主張である。地下アイドルなんかに興味もないであろう荒井氏が吉田氏の発言に反応して首を突っ込んできたのは、吉田氏のポストに男性側が悪いと書いてあると感じ、「女が悪い」と言いたくなってのことだろう。心から不快に思ったのか、ビジネス的なアンチフェミニズム・女叩き層に向けた発言なのかはわからないが。女性を叩きたいだけだから、地下アイドルの定義とかどうでもいいし、どうでもいいから地下アイドルに関するメチャクチャな認識を披露しても平気なのだろう。

そういった点から考えても、議論とよぶに値しないやり取りであったし、自分のあやまちを認めず、吉田豪はゴールポストを動かしているといいながら、実際に論点を動かし続けていたのは荒井氏の方だ。そういった低レベルのディベート術ともいえないようなやり方で「論破」したつもりかもしれないが、もともとの彼の支持者以外の人たちの間での評判をおとしただけではないだろうか。

「地下アイドルをミソジニーの発露に利用するな」と言いたくなるような不快な出来事だった。

 

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PROFILE:
ロマン優光(ろまんゆうこう)
ロマンポルシェ。のディレイ担当。「プンクボイ」名義で、ハードコア活動も行っており、『蠅の王、ソドムの市、その他全て』(Less Than TV)が絶賛発売中。代表的な著書として、『日本人の99.9%はバカ』『間違ったサブカルで「マウンティング」してくるすべてのクズどもに』(コアマガジン刊)『音楽家残酷物語』(ひよこ書房刊)などがある。
twitter:@punkuboizz

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