LGBT理解増進法ができて学校での教育も始まろうとしているが、LGBT活動家が吹聴する「LGBTの自虐史観」ばかりを教えれば、親は悲観し、当事者の子どもたちは将来に不安を覚える。「LGBTに生まれてよかった」と思ってもらえるような授業をしてもらいたいと心から願う。そのためにも本当の歴史を掘り起こす必要がある。2022年、東京都が20歳から69歳までのLGBT1040人を対象に行なった調査によると、生活上の困難を感じたことがない人は約70%だった。これもマスコミの伝えるイメージと随分違う数字ではないだろうか。
松浦大悟「同性婚に反対したら即差別主義者認定するのは大間違い」
橋本愛がLGBT活動家から批判を浴びて謝罪「トランス女性は女風呂や女子トイレを使わない」という活動家の嘘:松浦大悟
ペドフィリアはQに含まれる?
次に見ていきたい事象は、ペドフィリアについてである。X(旧ツイッター)において「#ペドフィリア差別に反対します」というハッシュタグがトレンド入りし、激しい議論の応酬があったことを記憶している人もいると思う。『イン・クィア・タイム―アジアン・クィア作家短編集』の帯文を書いた小説家の王谷晶氏がペドフィリア差別発言をしたとして、この本の翻訳者の村上さつき氏たちが出版社に抗議したのがきっかけだった。
王谷氏の発言の趣旨は、「LGBTQのQにはペドフィリアが含まれる」とのデマが広がっているというもの。こうした陰謀論が差別や恐怖心を煽り、社会を損壊していくというのだ。
それに対し、村上氏やそれに連帯するLGBT活動家たちの主張は、実際に犯罪に乗り出すチャイルドマレスターと、ただただ子どもたちに性的魅力を抱くだけのペドフィリアは違うこと。全ての差別に反対するなら、こうした性的マイノリティも排除してはならないというものだった。
両サイドに分かれたSNS上のやりとりは外野からも罵詈雑言が投げかけられ、王谷氏は謝罪の上、ツイートを撤回することになった。それでも村上氏は攻撃をやめず、出版社に帯文の破棄を求めて詰め寄ったが、X社によってアカウントを凍結された。王谷氏も鍵をかけて引きこもってしまい、予定されていたトークイベントも体調不良を理由として中止となった。
実は王谷氏は、幼少期に性暴力を受けた被害者だった。村上氏たちは小児性犯罪サバイバーの王谷氏に対し、「ペドフィリア差別反対!」と吊し上げていたのだ。フラッシュバックに苦しんだ王谷氏は、9月4日にアカウントを削除した。
ここまで読んだ読者は「やれやれ、またLGBT活動家によるキャンセルカルチャーか」とため息をつくだろう。しかし、事はそう簡単ではない。現在LGBT活動家内では、LGBTQの中にペドフィリアが含まれるかどうかで意見が割れている。含まれる派と含まれない派があり、王谷氏に罵声を浴びせたのは「ペドフィリアはLGBTQに含まれる派」のLGBT活動家だったのだ。どうしてこのような混乱が生じるのかというと、その原因もやはりLGBT活動家にある。言葉巧みにセクシュアリティの定義を変えてきたことのツケが回っているのだ。
歴史を振り返ると、ゲイ団体とペドフィリア団体は共に活動してきた経緯がある。自己努力によって変えられないセクシュアリティを持つ点においてはゲイもペドフィリアも同じであり、共感する間柄だった。ところが1994年、国際レズビアン・ゲイ協会は、国連に加盟させてもらうために、これまで共に活動してきたNAMBLA(米国少年愛者団体)を切り捨てる。ゲイは、自分たちが一級市民として生き残るために、都合の悪い彼らを排除したのだ。ゲイは救済されるべき差別の被害者であり、一方のペドフィリアはただの性的倒錯者にすぎないといったイメージは、こうして作られていく。「性的指向」と「性的嗜好」を分ける分類方法は彼らの生存戦略として考え出されたものだった。