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「性加害」という言葉への違和感:適菜収連載5

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サッカーの女子ワールドカップで優勝したスペインの選手に強引にキスをしたとして同国サッカー連盟会長のルイス・ルビアレスが辞任。ルビアレスはFIF A(国際サッカー連盟)から暫定的な資格停止処分を科されたほか、同意なくキスをしたとして検察に告発された。

すると、これが飛び火。

2014年、ソチ冬季五輪閉会式後の打ち上げパーティーで、日本選手団の団長だった橋本はフィギュアスケート男子選手の高橋大輔に強引にキス。しかし、その後大きな問題になることもなく、橋本は国会議員を続けている。たとえばあのとき森喜朗がソチ五輪女子フィギュアスケートで6位に入賞した浅田真央に強引にキスしていたら、自民党を揺るがす大問題となったはずである。

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ジャニーズの件に関しても同じ。喜多川の被害にあった少年は一説では数千人ともいわれている。仮に数百人いるといわれているAKB48のメンバーたちが長年にわたり秋元康にレイプされていたとしたら、芸能界全体を揺るがす大問題になったはずだ。

つまり、「男なんだから、チ◯ポをしゃぶられたり、オバハンにキスされたくらいで騒ぐなよ」といった「空気」が日本社会にあったのではないか。ある種の男性差別である。その「空気」を利用したのが喜多川だったのだと思う。

 

初出:実話BUNKAタブー2023年12月号

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PROFILE:
適菜収(てきな・おさむ)
1975年山梨県生まれ。作家。大衆社会論から政治論まで幅広く執筆活動を展開。『日本をダメにした新B層の研究』(K Kベストセラーズ)『ニッポンを蝕む全体主義』(祥伝社新書)など著書多数。

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