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松浦大悟寄稿、LGBT活動家が人権を訴えるほど当事者が生きづらいパラドックス

社会
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三橋氏は、性的マイノリティに関する歴史資料の収集では群を抜いており、追随するLGBT研究者はいない。この著書にも、そんな選りすぐりの資料が満載だ。だが、その貴重な文献を丁寧に読めば、三橋氏の主張とは違う歴史が描かれていることがわかる。

日本では太古からサードジェンダーが受け入れられており、西洋に追いつき追い越せの明治時代には女装が法的に禁じられたことはあったものの、日本人の女装好きは留まるところを知らず、1979年に東京の神田にできた『エリザベス会館』は「企業戦士のしばしの休息の場としての女装」というコンセプトを打ち出し、多くのサラリーマンで賑わっていたそうだ。

三橋氏自身もあとがきで《なぜ、男女どちらかの性別に「正常化」されなければいけないのでしょうか? なぜ、「あいまいな性」「第3の性」のままで生きてはいけないのでしょうか?》と書いている。ここに、なんとしても女性枠に入ろうとする彼女の活動家としてのイデオロギーとの矛盾がある。

保守論客のトランスジェンダー神名龍子氏は、三橋氏についてこう論評する。

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《この本よりも以前から、三橋さんの資料の収集にかける熱意と労力には凄い物があって、そこは掛け値なしに尊敬に値するものでした。ただ、せっかくの資料も、あらかじめ用意した結論のためには無視してしまう傾向がありましたね。彼女は自身で思想を組み立てる人ではないからです。フェミニズムの影響によるアンチ性別二元論という観点からはサードジェンダーを提唱してしまう。一方では自ら女性ジェンダーの再生産を実践してしまう。そういう自身の言動の矛盾を放置したまま発言を続けているから、見る人が見ればその矛盾が見えてしまうのです。女装して旅行に行った先々で触れ合った人たちの暖かさについて語るかと思えば、マジョリティは自分たちを差別しているともいう。でも旅先で知り合った人たちもマジョリティだろうに、と》

トランスジェンダーの苦悩はわかる。だがもう一方の当事者である生得的女性たちの苦悩を無視すれば社会は防衛的になる。我々はイデオロギーによって女性概念を人工的に改変するのではなく、トランスジェンダーがトランスジェンダーのまま差別されずに生きていける社会を目指すべきではないだろうか。

 

文/松浦大悟
初出/実話BUNKAタブー2024年2月号

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