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松浦大悟寄稿、LGBT活動家が人権を訴えるほど当事者が生きづらいパラドックス

社会
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これまで自民党を支えてきた3割の岩盤保守層にはLGBT法への反発が大きく、岸田政権が支持率低迷に喘ぐ原因にもなっている。ITコンサルタントで著述家のめいろま(谷本真由美)氏は、SNSで次のように分析する。

《この動画を見ていて思ったが、日本保守党の潜在的な人気は予想以上であり、従来の自民党に投票していたサイレントマジョリティが一気に動く可能性があるかもしれないなと感じた。人は感情で動く。自民党にかなり怒っている人は多い。》

《…サイレントマジョリティは、LGBTQの活動家、左翼、フェミニスト、外国人優遇、世襲、ずるい金持ちが大嫌いであり、日本の経済が落ち目ななかで、日本や郷里を誇りに思いたいという感情が強い。トレンドの調査やネットの反応を細かく見ていたらわかる。》

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筆者はゲイを公表している政治家だが、めいろま氏が指摘するような雰囲気をひしひしと肌で感じている。LGBT理解増進法が可決する直前には、トランス女性の弁護士である仲岡しゅん氏に「メッタ刺しにして殺害する」と書かれたメールが9回も届くなど、殺伐とした空気が世間を覆うようになった。LGBT活動家が正義や人権を訴えれば訴えるほど憎悪が増幅され、当事者にとって身をすくめるような世の中が生まれてしまっている。

現在54歳の筆者だが、このようなことは人生で初めての経験だ。わが国は欧米とは違い、お互いが見て見ぬ振りをしながらLGBTと共生してきた歴史を持つ。確かに西欧近代社会からは、リーガルコードではなくモラルコードで対応する日本の状況は前近代に見えるかもしれない。だが、曖昧なものを曖昧なままにしておく大人の知恵がLGBTへの大殺戮を防いできたのだ。22年に殺されたトランスジェンダーは、米国51人、EU14人、日本0人である。これを無理やり欧米流に合わせれば、人々の心の底に溜まった不満はいつか爆発することになるだろう。

そんな折、最高裁大法廷が出した判決は、さらに社会の分断を加速させるのではないかと囁かれている。

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最高裁判決後、女性を自認する身体男性が温泉施設で逮捕される

最高裁は今年10月25日、2003年に作られた性同一性障害特例法は憲法違反であるとの判断を示した。同法律には、戸籍上の性別を変更する条件として精巣や卵巣など生殖腺の除去が課されており、そのための性別適合手術が人権侵害に当たるというのだ。

申し立て人は、男性器の付いているトランス女性。200万円の手術料が経済的に払えないこと。手術という過大な負荷を体に課すことは、個人の尊重や幸福追求権を保障する憲法13条や、法の下の平等を定めた憲法14条に違反すること、などを訴訟理由として挙げていた。

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