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47本目・『日本の仁義』:杉作J太郎のDVDレンタル屋の棚に残したい100本の映画…連載79

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47本目・『日本の仁義』

※本記事は以下記事の続きです。
連載77『日本の仁義』
連載78『日本の仁義』

正しいか正しくないか、で言えばまったく正しくない。

有罪か無罪かで言えばまぎれもなく有罪。

思えば東映の映画館に一歩入って暗闇の椅子に腰をおろせばそこはもうそうした世界だった。

当時、東映アワーというテレビ番組があった。東映映画の宣伝番組でいまの人が見聞きしたらビックリするタイトルの作品の紹介、撮影所からのレポート、さらにはお客さんや歓楽街でお仕事をしているみなさんの感想も放送されていた。世間一般では浮草稼業と呼ばれる彼女たちが菅原文太さんの魅力を口にしていた。

東映の映画館の中はふだん触れている社会常識やモラル的なものとまったく正反対であった。

俺は当時、私立中学を退校、友人知人にあわせる顔もなく、孤独な青春の真っただ中にいた。兄弟もなく、親とも別に暮らしていたのである意味、天涯孤独であった。

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この社会にもう自分の居る場所はない。

いま思えばそんなことはないんだよと言ってあげたいがタイムマシンもなければあったとしても自分自身に会ってはいけないという説もある。会えないし、言えませんね。いや、言いたくない。ま、孤独だったがそれゆえに出会ったものもある。

それが映画。

東映の映画館。

そして港のある街にあった東映映画が月遅れでかかる名画座であった。

社会常識やモラル的なものと真逆の世界があった。

俺はそこに迷い込んだ。

まったく不思議の国のアリスだった。

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いま。

21世紀。

世界も社会も変わった。

まだまだ変わる。

こんなもんじゃないだろう。

間違いない、まだまだ変わる。

ここ数十年、変わらなさ過ぎたのだ。

あの日。

東映の映画館から出たら太陽がまぶしかった。

朝いちの回を見たのだ。

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