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「逆ギレママチャリおばさん」騒動で思ったこと:ロマン優光連載287

連載
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転がっているのは自転車だけではなかった。自分よりも自転車から離れたところに耳からイヤホンのコードを足らした髪が少し長めの若者が倒れており、ひくひく痙攣している。自転車に乗っていた若者だ。自分とぶつかった衝撃で自転車から投げ出され、その際に体を強く打ったようだ。

わらわらと付近の住人が出てきたのだが、自分が自転車に近いところに立っていて、離れたとこに若者が倒れていたことから、自分の方が「自転車で若者をはねた加害者」だという風に思われており、本気で焦った。いや、若者が痙攣しているのを見た瞬間から「頭打ってて死んじゃったらどうしよう…俺の責任になったりするのかなあ…」と思って既にめちゃくちゃ動揺していた。

パトカーと救急車が現場に着き、若者も意識を取り戻し、事故の原因はイヤホンで音楽を聴いていて周囲に注意をはらっていなかった若者にあり、自分に責任はないという話に。取り合えず二人とも救急車に乗せられ病院に向かった。

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特に大きな怪我はなかったが、さすがに体が痛かったので次の日は仕事を休んだ。その後、若者から一度連絡があり、頭とかも特に問題はなく元気だという話で「無事でよかった、よかった」となって電話を切った。よく、考えたら仕事を休んだ補償の話とかすればよかったかもしれないが、何事もなかった安堵感ですっかり忘れていた。自転車と若者と自分の中で一番ダメージがなかったのは自分だった。

まかり間違ったら、若者は死んでいたかもしれないわけで、自転車といってもナメないほうがいいと思う。

ようするに「自転車も気をつけて乗らないと大変なことになることもあるから、法律とか条例とかちゃんと知っといたほうがいいと思う」という話だ。

いやー、あの時は本当に動揺した…。

 

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PROFILE:
ロマン優光(ろまんゆうこう)
ロマンポルシェ。のディレイ担当。「プンクボイ」名義で、ハードコア活動も行っており、『蠅の王、ソドムの市、その他全て』(Less Than TV)が絶賛発売中。代表的な著書として、『嘘みたいな本当の話はだいたい嘘』『90年代サブカルの呪い』(コアマガジン刊)『音楽家残酷物語』(ひよこ書房刊)などがある。
twitter:@punkuboizz

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