三宅氏は公開当時から『花束』についてTwitter(現X)でたびたび言及したり、noteに原稿をあげたり、対談の場で言及するようなことを今にいたるまで続けてきた。
そうはいっても、パズドラだけじゃ満足できない―『花束みたいな恋をした』の物足りなさ
https://note.com/nyake/n/n90daa6cd43f8
読書する時間がない時代をどう生きる?三宅香帆と読む『ファスト教養』レジー×三宅香帆
https://shinsho-plus.shueisha.co.jp/interview/regista_miyake/21255
日本社会は「全身全霊」を信仰しすぎている?「兼業」を経験した文芸評論家・三宅香帆と「ゆる言語学ラジオ」水野太貴が語る働き方 三宅香帆×水野太貴
https://shinsho-plus.shueisha.co.jp/interview/mizuno_miyake/26860
彼女の解釈も自分とは違うものである。『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』に関する水野氏との対談から、三宅氏『花束』への想いがわかりやすく語られている部分を引用したい。
三宅 今までの話につながるところかな。主人公の麦はカルチャーが好きで、働きながらイラストレーターを目指そうとしているけど、いざ働きはじめると本や漫画やゲームに関心を示さなくなって、イラストも描かなくなってしまいますよね。その描き方に、ちょっといじわるな目線があるのではないかと。それこそ、「半身」とか言ってる場合じゃないんだ、みたいな目線。
水野 マッチョな感じというか?
三宅 そうです。「そもそも、ユースカルチャーとか本気で好きじゃなかったんじゃん、君たち」みたいないじわるさが映画に見え隠れしているような気がする。でもそれって文化的な仕事をできてる人の傲慢じゃない? と感じます。
水野 自分の隠してる根本の部分をつかんできてる感じがあるわけですね。
三宅 そうですね。だから、文化的仕事へのスタンス、みたいなところでざわついたって感じです。