――でも今は高齢化率3割、平均寿命が男女ともに80代ですよね。なのに高齢者の医療費が1割。
音 維持することがもはやできないんです。だからこそ、70年代の高度経済成長期に始めた間違ったバラマキを元に戻そうと言っているんです。何か切り捨てをやろうと言っているわけではまったくありません。
――そもそも、この改革案は音喜多議員の意見が反映されて出てきたものなんですか?
音 政務調査会長として私が責任を持ってやってきた。そのことは確かです。だけど別にトップダウンでやったわけではありません。厚生労働部会や医療制度改革タスクフォースといった特別チームを立ち上げ、猪瀬直樹さんのような制度改定の取材をしてきた国会議員や現役医師の方々、厚労省のOBまで、彼らの意見を集めて今回の結論を出しました。
批判や選挙を恐れず問題提起をする政党や政治家が必要
――窓口負担1割で済んでいたのが3割となると、高齢者からしたらたまったものじゃないですよね。それに高齢者と同居している子どもからすると迷惑がられたりして、批判が相次ぐ。改革案発表前からそのことが予想できたのでは?
音 ご批判は覚悟していました。しかし誰かが大きな議論を巻き起こし、改革を加速させていかねばなりません。窓口負担の見直しは、政府が出している歳出改革の工程表のメニューにも入っています。ただ、これがいつになるかわからない。こんな状況ですから、批判を恐れず、選挙を恐れず問題提起をする政党や政治家がこの国には必要なんです。
――高齢者を中心とする批判や不安の声にどう向き合っていくつもりですか?
音 我々は別に一方的に窓口負担を見直そうとか高額医療費制度をなくそうとかと言っているわけではなくて、「低所得者等医療費還付制度」を設けて当然本当に困った人は救済していこうとか、そうした制度設計をやっています。批判に応える形で丁寧に私たちの考え方を説明したり、制度の必要性をしっかり伝えたいと思っています。
1割負担の現状がおかしいと言う高齢者もいる
――とはいえ高齢者の方々からの反対の声が大きそうですが、どのように理解を求めますか?
音 街頭(演説)をやっていてこんなふうに声をかけられました。「大賛成。整形外科に行ったら高齢者ばかりで俺でも嫌になる。3割払わせてほしいのに1割しか払えない。これっておかしいんじゃないか」と。この方(75歳)のように高齢者でも1~2割の方々は賛成してくださっている。こうした方々をしっかりと味方につけ、さらにほかの方たちにもしっかり理解いただきたきたいと思っています。
――「若造が何を言っている」と言われ、反感を買いませんか?