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石丸伸二とナポレオン 米山隆一による「石丸現象」評と今後

社会
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小池知事の新宿の演説では、柵の外側でこそ「ヤメロ! ヤメロ!」という怒号が飛び交っていましたが、柵の内側には多数の関係者と思しき方々が整然とならび、怒号が聞こえているのかいないのか、小池知事はどこ吹く風、余裕綽々で都下各区長との義理人情噺の演説を続けていました。新宿南口での蓮舫候補の演説はロックのライブ、観客の「蓮舫! 蓮舫!」のコールが響き渡る中、蓮舫候補は渾身のシャウトで政策を訴え、まさにロックスターそのものでした。それに先立つ麻布での石丸候補の街頭演説は、時間になると若い人や家族連れがどこからともなく集まり、時折J-POPのアイドルさながらのポーズをとって天を見上げる石丸候補の演説に静かに聞き入り、感嘆の声を漏らし、拍手を送っていました。

面白いことに、この3カ所の中で、私は石丸候補の演説を聞いている時、最も多く聴衆から声を掛けられ、そのほとんどが「YouTube見ましたよ! 応援しています!」「Xフォローしてます。レスバ頑張って下さい!」というSNSに関わるものでした。

日本社会の中で、政権関係者を筆頭に現政権の在り方に大きな不満を抱かずそれを受け入れる与党支持層と、それに強い不満を抱き抗議の声を上げる野党支持層だけではなく、若者を中心に、既存政党全般に不信感を抱き、既存のマスコミではなくSNSから情報を収集し、新たなヒーローによる社会改革を期待する層が生まれ、それぞれの間での分断が、静かに、しかし深く大規模に、進んでいたのです。

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ところが私を筆頭に、野党関係者、そしておそらく与党関係者も、その分断の規模と深さを、正確に認識できていませんでした。もちろん知識としては、無党派層が拡大していることも、若者の間では、最早TVや新聞ではなくSNS―特にYouTubeが情報収集の中心となっていることも知ってはいましたが、いざ選挙となれば、無党派層の有権者の支持も、与野党の主要政党候補に収束し、TVや新聞で報道されている政策の良し悪しで勝敗が決するものと、固定観念的に思い込んでいました。そしてその現状認識の欠如の下に立案・実行された選挙戦術は、勿論一通りのSNSを使ってはいましたが、基本的には従来型のものでした。

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