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「このバトル漫画がとんでもない」植地毅のTOP3

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続いては『ダシマスター』(原作:早川光 作画:松枝尚嗣/2009年)。女流職人による寿司バトル漫画『きららの仕事』の原作者・早川光が16年に及ぶ自身のダシ研究の集大成として、料理の基本である「ダシ」に着目した異色のグルメバトル。

出張料理人ヤタ・ダイゴは「素材の声を聞く」奇跡の腕前が評判の天才若手料理人だが、実は老舗料亭の御落胤であり、本妻の息子で経営重視の義兄と激しく対立し家出した過去があった…。よくある設定とはいえ、定番の兄弟喧嘩を料理バトルに変換した物語展開と、堅実な理論に裏打ちされた料理には特に問題はない…はずだった。

2011年『ダシマスター』の作画にトレス疑惑が発覚。編集部では加筆修正では対応できないと判断し、連載打ち切りと6巻まで刊行済みの単行本の絶版を決定。およそ考えうる最悪の形で終了してしまうのであった。現時点で古書市場では100円程度なので、入手難易度が低いのは救いである。

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そして絶版グルメのラストを飾るのは『炎の料理人 周富徳』(原案:KISHO 原作:荒仁 作画:今泉伸二/1994年)。90年代ジャパンを席巻した本格中華ブームの火付け役としてブレイクした横浜華僑出身の料理人・周富徳(故人)。その波瀾万丈の半生を「取材を基にしたフィクション」で漫画化した本作は、とにかく常に料理勝負という喧嘩を、相手構わず売りまくる周さんの虚実を楽しむのが正しい読み方。しかし現在まで絶版ならびに未電子化であり、これまた読むには紙の本を入手するしかないのは結構難易度高め。

あと気になったんだが、単行本全9巻に及ぶ長尺ストーリーなのに、実弟の周富輝が一切登場しないのは何故なのか? いっそ横浜中華街まで出向いて富輝氏に直撃取材を試みたいが、食品偽装問題でそれどころじゃなさそうである。

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文/植地毅
画像/『炎の料理人 周富徳』(原案:KISHO 原作:荒仁 作画:今泉伸二/集英社)
初出/『実話BUNKA超タブー』2024年11月号

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