この〝安いのにうまい〟という特殊な現象が起きているラーメン文化は、ラーメン店による異常なまでの過当競争によって発達したところがある。ラーメンを1000円以下でやっていけてるお店は、外国人労働者を雇って、寮で住み込みで働かせているようなケースがマジで多いよ。
日本が世界に誇るアニメ業界も、アニメーターが異常な環境で抑圧されて働いていたから、ハイレベルな作品がたくさんできたのだと思うけれど、ラーメン業界もそれに似ているんじゃないか。どちらもクリーンな環境とは言えない、ありえない競争に晒されている。
僕みたいな個人店レベルだと、原価が上がり続けるなかで単価を上げるには、港区とか歌舞伎町あたりに出店しないと本当に厳しい。箕輪家は家系も二郎系も両方出せるのがウリなので、歌舞伎町でも良い勝負はできるはずなんだ。
もし、ラーメン業界に参入するのに免許が必要だとなっていたら、こんなにうまい店ばかりになっていないはず。誰でも参入できる敷居の低さもポイントだろう。
そういえば、テスラを経営する実業家のイーロン・マスクは、よくお忍びで新宿のゴールデン街に来て、歌舞伎町のラーメン二郎を食べているらしいんだ。箕輪家の歌舞伎町店ができた際にはぜひとも利用してほしいね。家系も二郎系も用意してるんで!
地方の高級飲食店を求める富裕層たち
ラーメンに限らず、SNSや食べログでは飲食店に関する感想や情報が異様に多い。そんなネット上での情報が発達しすぎてるからこそ、逆にネット掲載がNGの高級店なんかも現れだしているみたい。
最近では地方にも高級飲食店が増えているらしく、例えば瀬戸内海なんかがそうで、ロケーションも良いと評判。それを求めて旅行する富裕層も多いよ。
僕の周りでも、レストランの料理だけを目的に旅行したりしている人はけっこういる。若手実業家とかね。
自分の場合は、料理のハードルが上がるからわざわざそれを目的に旅行することはないかな。仕事で出かけた先で、ついでにサウナに寄ったりとか、おいしい店を見つけたりするよ。
今僕がハマっているのは、「天下一品」でめんたいご飯とこってりのセットを頼んで、こってりのスープをめんたいご飯に浸しながら、海苔で巻いて食べるやつ。
1000円以下で済むから、口うるさいラーメンオタクにもオススメ(苦笑)。
初出/実話BUNKAタブー2024年12月号
PROFILE:
箕輪厚介(みのわ・こうすけ)
1985年東京都生まれ、早稲田大学卒。2010年双葉社に入社。広告営業などに携わった後、編集部へ。『たった一人の熱狂』見城徹/『逆転の仕事論』堀江貴文などを手がける。2015年幻冬舎に入社、書籍レーベル「NewsPicksBook」を立ち上げ、編集長に就任。『多動力』堀江貴文、『日本再興戦略』落合陽一、2019年に一番売れたビジネス書『メモの魔力』前田裕二など次々とベストセラーを手がける。自著『死ぬこと以外かすり傷』は14万部を突破。クラウドファンディングにて1000万円を集め、雑誌『サウナランド』創刊。様々なブランドとコラボレーションをおこなったり、各地でサウナランドフェスを開催。2021年のSaunner of the Yearを受賞。