当時は黙殺された中絶騒動
「9000万円トラブル」で芸能界引退に追い込まれることになった中居正広。5月12日には代理人弁護士が「一般的に想起される暴力的または強制的な性的行為は確認されなかった」と反論したことで、再び注目が集まっているという。
そんな中、一部のメディアで注目されているのが、かつて中居が体の関係のあった一般女性を妊娠、中絶させたというスキャンダルだ。2000年に月刊誌『噂の眞相』が報じたのが「国民的アイドルSMAPリーダー中居正広を襲った妊娠中絶劇の顛末」なる記事で、当時の中居は28歳。この年のSMAPは『らいおんハート』がミリオンを記録するなどまさにアイドルとして人気絶頂だった。
同誌はこの翌号でも続報を掲載しており、中居が記入したという「中絶同意書」のサインを公開。さらにウェブサイトでは中居と女性が中絶をめぐって電話で交わした修羅場な会話の録音データまで公開している。中絶同意書の署名は中居が実際に書いた文字と比較してもそっくりで、現在のAIでも「同一人物が描いた可能性が高い」との判定が出ているようだ。記事の信憑性は極めて高かったと言えるだろう。
ところがこの記事は一般にはほとんど知られることなくウヤムヤのうちに消えてしまった。というのも当時の芸能マスコミはジャニーズに完全に屈服しており、後追いしたのは東京スポーツとごくわずかな活字メディアのみ。ほとんどすべての大手メディアがこの記事を黙殺したからだ。
「ジャニ担記者がジャニーズの女帝・メリー喜多川にこの記事についての話題をそれとなく聞いたところ、『アンタはあんな嘘つき雑誌の言うことを信じるの』と一喝されたそうです。当時のジャニーズには誰も逆らえないし、一行も書けませんでした」(スポーツ紙芸能記者)
当時はすでにネット掲示板・2ちゃんねるなども存在していたが、現在ほどリテラシーは高くなく、それ以前のジャニー喜多川のホモセクハラ話と同様、都市伝説のように面白がられただけだった。
「今回のスキャンダルでは中居の被害者女性に対する酷い行為や、悪びれもせず『示談しているから仕事は続けられる』と言ってしまう一般の感覚とは大きくズレた思考が表面化しています。中居は長い間、ジャニーズ事務所によって守られたことで、世間や女性、メディアを完全にナメてしまったのでしょう」(前出・スポーツ紙芸能記者)
中居にとって、この報道をもみ消してもらえた成功体験は大きかったのかもしれない。何をしてもジャニーズ事務所や大手メディアが守ってくれるという甘えが、今回の大スキャンダルを生んだともいえるのだ。そんな中居と大手メディアの罪を検証するためにも、ほとんどの人が知らなかったこの「妊娠中絶劇」の記事がどのようなものだったのか、本誌が改めて紹介しておこう。