またもや勝ったドナルド・トランプ
昨年11月6日、アメリカ合衆国大統領選挙が開票された。初の女性大統領を目指すカマラ・ハリスに対するは前回の選挙でジョー・バイデンに敗れたドナルド・トランプ大統領。メディアの予想は大接戦であったにもかかわらず、蓋を開けてみればトランプの圧勝にて再当選となった。
米国人よ、正気ですか?
いや、正気な人もいる。
トランプが大統領に就任した1月20日、その直前の1月17日に日本で公開された映画『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』。父親が営む不動産会社が破産寸前まで追い込まれていたとき、若きトランプは悪名高き敏腕弁護士ロイ・コーンと出会う。ナイーブなお坊ちゃんだったトランプは彼の教えで変貌していき、やがて“怪物”へと成り果てる物語である。
脚本は長年トランプを取材してきた政治ジャーナリストのガブリエル・シャーマン。彼はこの映画について「『人生で大事なことは勝つこと以外にない』と思っている人間がどうなるかという、警告を発していると思ってくれたらいい」との声明を出している。すなわちトランプが抱く価値観の危うさを問う作品になっている。米国では大統領選の約1カ月前に公開されたのだが、その結果……。
トランプ、圧勝!
米国人よ、正気ですか?
長年、近くでトランプを見てきた記者が「コイツ、マジで大統領にしちゃダメなヤツだから」と発した警告を大多数の人が無視したってことだよね? いや、そもそもこの映画を観なくてもトランプが「人生で大事なことは勝つこと以外ない」というヤバい考えの持ち主だって知っているよね? いやいや、それ以前に、長年メディアに登場し続けているトランプがどんだけヤバいヤツかってことを米国人なら重々承知しているよね?……え!?「そんなにヤバいヤツだったっけ?」って!?
トランプのヤバい半生を見返して、悔い改めよ。
「嘘つきは悪ではなく生き方」
ドナルド・ジョン・トランプは1946年6月14日にニューヨーク市クイーンズ区で5人兄弟の第4子として生まれた。
不動産デベロッパーだった父フレッド・トランプはドイツ系アメリカ人であり、父方の祖父フレデリック・トランプはドイツからの移民であった。母メアリー・アン・マクラウドはスコットランドからの移民。すなわちトランプは生粋の移民の子である。
ちなみに裕福な実業家であったトランプ一家宅はクイーンズ区に残されており、一晩777ドル(2017年当時・約8万5000円・最大20人)で民泊できるようになっていた。応接室にはトランプの等身大パネルまであったというのだから、大統領というよりも観光地化している有名なタレントの生家という感じか。
なんか、しょぼっ!
その家で少年時代を過ごしたトランプは物事に敢然と立ち向かう性格で、小学校の教師を殴ったことがあると自伝で告白している。近隣でも有名なガキ大将で好かれるか嫌われるかのどちらかだったが、仲間内では常にリーダーだったと、自伝には書かれている。