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思想家倉本圭造に訊く 極論や分断が跋扈する世界をどうすれば乗り越えられるのか

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倉本 最近の日本の再開発がツマンナイものになってるんでは? っていう問題意識自体は多くの人が感じてることだと思うしすごい大事な発想なんですよ。一方で、新宿ゴールデン街とかみたいな、戦後の闇市から始まったゴチャゴチャした木造建築の密集地で耐震基準も危ういし消防車も入りづらいしみたいなのを全部そのまま残せみたいなノスタルジーに浸っててもどうしようもない。

渋谷のミヤシタパークも開発時にすごい揉めましたが、実際に完成したら若い子がすごく増えて、いまはTikTokerの聖地みたいに、新しいカルチャーが生まれる場所になってる。だからノスタルジーで押さえつけてはいけないし、変わっていくのを拒否してはいけないなと思います。新宿ゴールデン街みたいな特殊な例はなんとか頑張って工夫して残すにしても、ですね。

だからこそ、無駄な喧嘩をしてないでメタ正義的に考えて、これからはそういう「再開発」の中に「魂」をどうやって入れるのかについて、立場を超えて工夫を持ち寄れるかどうかですよね。

大阪の再開発を見てると、例えば大阪駅前に誰でも入れる大きな芝生のゾーンを作ったり、その隣には確かにめっちゃ値段が高いカフェもあるけど、すぐ近くにはミスドとか吉野家とかが集まってる学生でも入れるようなフードコートを一番入りやすい一等地にちゃんと用意しておいたりして、その場が「みんな」に開かれたものにしなくてはいけない、という強い意志が感じられてなかなか良いなと感じてます。

東京の再開発はどうしても「一部の金持ち以外お呼びでない」的に閉鎖的で選別的になりがちですから、そこは大阪の良いところですよね。維新が嫌いな人は、維新が関わっている大阪の再開発にはとにかく全部反対しているし、バカだバカだと言ってますけど(笑)、実際に現地に行くと、頑張ってる部分はあるし、維新の支持率が高いのも分かる。

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――維新や吉村知事が進める大阪万博も含めて、様々な問題はある種「是々非々」であるべきだと思いますが、SNSでは極端な二分法で議論されることが多いですね。そして、どちらかを旗幟鮮明にしないといけないようなムードになっているし、それこそ「論破という病」が蔓延しています。

倉本 まあ現時点では仕方ないですね。ただ議論を出し尽くす、必要な過程を洗い出すには、そういう極端な意見や人も必要という面もあります。ただそこで終わってしまわずに、その「出尽くした議論」を再度「メタ正義的な工夫の持ち寄り」に転換して実際に解決する流れに持っていけるかどうかが課題ですね。

人と人との繋がりさえ壊れなければ、最終的には「喧嘩してたってしゃあない、ちゃんと解決せな」という方向になってくはずなんで。まずはぶつかり合って言いたいことを言い合って、でも最後にちゃんときれいな着地ができればいいと思いますね。カオスであっても、言いたいことを言える、言える社会であることは大事だと思うので。

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