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思想家倉本圭造に訊く 極論や分断が跋扈する世界をどうすれば乗り越えられるのか

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倉本 完全なデマに対しては、ファクトチェックが必要な時もあります。でも本質的に彼らが求めてるのはそういう話じゃないですよね。

例えば日本社会が金持ち地域以外でもまあまあ治安が良くて清潔に保たれてる「日本らしさ」みたいなものが崩壊するんじゃないかという危機感を彼らは持っていて、そしてそれはリベラル的な理想を持って外国人との共生を考える上でも大事な問題意識ですよね。

だから、「相手の言ってること」ではなく「相手の意見の存在意義」に向き合うメタ正義的な視点を持てば、ニューカマーの人たちにどう日本語と日本の風習を学んでもらうか、ゴミ出しなどのルールをどう周知するか、制度の不正利用をどう防ぐかなどを真剣に積み重ねることが必要なのだとわかるはず。「犯罪率は高くない!」とか“ファクトチェック”して黙らせてる場合じゃない。そういう対策を右も左も協力していま一丸となってやっていかないと、5年後、10年後には、いまのアメリカや欧州が陥ってるような状況になるのは目に見えてるので。

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――「再開発問題」でいえば、僕は渋谷に行くと再開発で個人店が減って、30年前よりつまらない街になっているなと感じるんです。同時に、外国人観光客が路上で酒盛りしてたり、広告トラックが風俗の体験入店とホストばかりになってる状況にも、非常に不安を感じる。一方で、昔はカツアゲもされたし、統計的にも再開発される前の渋谷のほうが、治安は悪かった。だから体感治安の悪化と現実、商業施設の再開発と個人のノスタルジーなどの様々な論点は、ちゃんと切り分けて考えないといけないなと思うんです。しかしそれをごっちゃにして、是非を問うような分断的な論調が、特にSNSでは多くなってしまっています。

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