2024年6月、前代未聞の26億円窃盗事件を起こした水原一平。水原を信頼し、賭博の容疑をかけられた大谷翔平は、どのようにして平静を保ったのか? その秘訣が隠されている大谷の名言の数々を紹介する。
しっかりした技術さえあればどんなメンタルでも打てる
大谷選手は「メンタルがすべて」とは言いません。むしろ逆で、「技術がメンタルを支えてくれる」と考えています。
どんなに緊張していても、どんなにプレッシャーがかかっていても、普段どおりのスイングができる人が強い。そのためには、こころを落ち着かせるテクニックより、まず身体が自然と反応するレベルまで練習を重ねておくことが不可欠です。
調子のよしあしに振り回されないこころを育てるには、「ここまで準備してきたのだから大丈夫」と自分を支えるだけのロジックが必要です。自信は、練習量に裏打ちされて、はじめて本物になります。
大谷選手はメンタルが強いのではなく、技術を信じられるほどに鍛えたから、強くなれたのです。
日本では「メンタルの強さ」が過剰に注目されがちですが、大谷選手が体現しているのは、技術の積み重ねの果てに生まれた自然体のこころ。
水原一平騒動の後も、成績が維持できたのは、こうした事情があったのです。
チームメイトのサポートにも感謝したいと思います
2024年春に起きた水原一平通訳の違法賭博問題に関連して、大谷選手が記者会見で語った言葉です。
突如として渦中の人物となった彼にとって、最も心強かったのは、同僚たちの変わらぬ支えでした。どんなときも味方でいてくれる仲間の存在があったからこそ、彼は平静を保ち、プレーに集中し続けることができたのです。
大谷選手が助けられたのは、日ごろからチームのために動いていたからです。個人成績に満足せず、勝利のために全力を尽くす。打った後に全力で走る。ベンチで常に声を出す。チームメイトに対しても礼儀正しく、思いやりを持って接する。そうした日々の行動が信頼を築き、「あいつのためなら動こう」と思わせる空気を作っていたのです。
「チームに尽くす行動」が、ピンチのときに「チームに救われる力」へと変わる。自分の利益よりも全体の成果を優先する人は、いざというとき必ず助けられます。一緒に働きたい思われる人になることが、チームで輝くための方法です。