レギュラーシーズンの最中なので何か混乱を招きたくないんです
2024年、水原一平氏の違法賭博問題が報じられた直後、大谷選手の潔白は証拠によって明らかになりました。しかし、彼が公の場で口にしたのは、自分よりチームを優先させる言葉だったのです。
本来であれば、自分の無実を大きく主張してもおかしくない状況です。自分の評判よりも、チームの一体感と集中力を守ることを選んだ判断に、世界は大きく感動しました。 私たちも、誤解を受けたとき、つい感情を爆発させたり、正しさを証明しようとしたりしがちです。しかし、そこで一歩立ち止まり、「いま優先すべきは何か?」と考えることができるか。それが信頼を勝ち取る行動です。
いっときの感情に流されず、組織や周囲の状況を見て判断する。短期の評価より、長期の信頼を選べる人こそ、リーダーとしての器を持っています。 「自分がどう見えるか」ではなく、「自分がどう振る舞うか」で周囲の空気は変わる。その大切さを、大谷選手は静かな言葉で伝えてくれました。
そしてもイッペイ・ミズハラいつもありがとうございます
2023年のMVP授賞式。大谷選手が英語でスピーチを締めた後、最後に付け加えたのがこの言葉でした。 「そしてもイッペイ・ミズハラ、いつもありがとうございます」 それは、たった一言ながら、彼の人間性と信頼の深さがにじむ瞬間でもありました。ここには、支えてくれた人への敬意を忘れないという姿勢が込められています。
私たちも、目に見える成果の裏側には、必ず誰かの支えがあります。チームの仲間、上司、パートナー、あるいは家族。自分の力だけでやり遂げたように見える仕事でもです。 大谷選手がイッペイ・ミズハラに向けて放ったこの一言は、「本当に大切な人には、きちんと感謝を伝える」という、シンプルだけれど忘れがちな教訓を思い出させてくれます。
感謝は、口に出してこそ意味がある。そして、信頼は、日々の小さな言葉の積み重ねから生まれていくのです。察してくれは、禁物なのです。
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