メガソーラー建設に際して問題があるのは事実だが、だからといって太陽光発電だけがここまで「悪玉」扱いされているのは短絡にすぎるだろう。
もちろん真っ当なエネルギー政策をめぐる議論なら大歓迎だ。しかし現在の太陽光発電の議論は批判のための批判に終始しているようにしか見えない。それどころか対抗勢力を攻撃するために事実を捻じ曲げ、デマを流して国民の感情を煽るようなやり方ばかりが目立つ。これでは国民にとって百害あって一利なしだ。
メガソーラーは環境破壊なのか
太陽光発電の批判派が真っ先に口にするのが「環境破壊」への懸念である。太陽光発電はパネルを設置するために日当たりのいいスペースが必要で、大規模な太陽光パネルを設置するためには山林を切り開くようなケースがあるのは事実だ。
実際、一部のメガソーラー事業では乱暴な造成による土砂崩れの懸念が指摘されており、岡山県赤磐市や奈良県平群町では住民による反対訴訟に発展している。
しかし、だからといって即座に「環境破壊=悪」というわけではない。
まず前提として、日本全体の森林面積は国土の約66%(林野庁「森林・林業白書」2023年版)を占めている。そのうちメガソーラーによって開発対象となった面積は、環境省の推計で全国合計でも年間数百ヘクタール規模。これは宅地造成や道路整備によって毎年失われている森林面積と比べてもごくわずかな数字だ。つまり、特定の事例を誇張して「自然破壊の元凶」と断じるのは事実に反している。
「そもそも環境影響をゼロにする発電方法など存在しませんからね。水力発電だってダム建設で川の生態系を壊す懸念はありますし、火力や原子力発電はいわずもがなでしょう。メガソーラーによって地熱が上がるというのもデタラメですし、環境への影響ははるかに少ないんです」(企業系シンクタンク上席研究員)
