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大規模太陽光発電をやめろ!の無知と誤解

社会
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太陽光発電を批判する言説には、こうした陰謀論まがいのデマが多数含まれているのが現実だ。たとえば釧路の案件も、実際の計画地は湿原の保護地域そのものではなく、周辺の一角を利用する案にすぎない。湿原が消えるというのは単なる妄想なのだが、それでもネット世論では「湿原そのものを潰す計画だ」と曲解された情報がまかり通っている。

「大船渡のケースも、漁業との直接的な利害関係は薄く、科学的な根拠もありません。批判の多くは震災被災地を金儲けに使うのかという感情論がほとんどです」(前同)

こうしたケースに共通するのは、事実と誇張がないまぜにされ、反対派が過激なスローガンで世論を誘導している点だ。釧路では「湿原全体が破壊される」というデマ、伊東では「土砂災害が必ず起きる」という断定、大船渡では「漁業と相容れない」という飛躍ぶりだ。これらがSNSで拡散されるうちに、いつの間にか「メガソーラー=環境破壊」という図式が広がったのだ。

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既存政党への批判ツールに最適

そもそも反対派は太陽光よりはるかに環境負荷が高いはずの火力発電や原発の環境負荷については無視しているのも不可解だが、実はここには、昨今の政治状況も影響しているという。

「太陽光発電施設への反対が盛り上がっている背景には、オーガニック信仰を信奉する参政党の躍進も影響しています。こうした大規模な発電施設は、自民党や民主党など既存の政党が主導して進めてきたものがほとんどですからね。参政党を筆頭とした新興の政治勢力にしてみれば、エネルギー政策の失策として攻撃したいのでしょう」(全国紙政治部記者)

実際、参政党は「環境破壊に繋がり、再エネ賦課金を上げるようなメガソーラーや風力発電には断固反対です。大体外資が絡んでいますし」とデマ交じりの反対論を流布し続けている。現実を無視して太陽光発電を敵視する人々は、自らの不安やイデオロギーを投影しているだけなのだ。

こうしてみれば、太陽光発電を「環境破壊の元凶」「無駄な利権」と断じる批判は、数字と事実の裏付けを欠いた感情的レトリックにすぎないことがわかるだろう。現実はむしろ火力や原子力と比較しても環境負荷ははるかに小さく、経済性も急速に高まっている。制度的な欠陥も改善されつつあり、もはや「普及最優先」から「どう適切に管理し安全性を高めるか」という段階に移っている。

にもかかわらずメガソーラーを環境破壊と決めつけるバカたちは、自分たちの言葉が未来の選択肢を狭めていることに気づいていないのだろう。無知とデマを振りまいて発展を妨げる人々こそが、日本社会にとっての「環境破壊者」なのである。

 

文/小松立志
初出/実話BUNKA超タブー2025年11月号

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