「もともと物証はなく本人の証言のみで、その証言も細部描写に物理的な無理があったり、常識的にあり得ないものばかりでしたからね。たとえば町長室で性被害を受けたといいますが、家具の配置が現実とはまったく違っていたし、人の出入りが多い公的な場所で本当に性行為が可能だったのかも疑問です。多くの矛盾を指摘された新井の証言は二転三転し、被害場所が当初の町長室から会議室に変わるなどブレブレでした」(全国紙記者)
なにより決定的だったのは、新井が百条委員会で『(町長と)性交渉をした事実はない』と当初の証言を覆したことだ。議会が除名の判断をしたのも当然で、本来ならこれで終わっていた話である。
が、告発はここから異様な展開を見せ始める。新井は百条委員会で「性交渉の事実はなかった」と証言したにもかかわらず、その後、この発言内容を否定し、「証言は誘導されたものだ」「委員会が性交渉の事実を隠蔽しようとしている」として、除名処分に徹底抗戦の構えを見せ始めたのだ。さらに20年12月に日本外国特派員協会(FCCJ)で会見を開き、自身の正当性を訴える主張を展開。涙ながらに「#MeTooの流れのなかで勇気を出して告発する」と語り、これを大手メディアが取り上げたことで風向きが変わり始めた。
「これまでの経緯を取材していれば新井の怪しさは明らかで、ほとんどのメディアは中立の立場で淡々と事実関係だけを報じましたが、一部の報道が、新井の主張を擁護する論調を展開したんです。これによって事態は一気に「性被害を訴える勇気ある女性議員」VS「権力を持つ男性町長」という図式に単純化され、世間の耳目を集めることになりました」(全国紙記者)